Voice Library in Japanese
~Serving the community through reading aloud~ We look forward to serving for you.
Voice Library in Japaneseは、2004年4月ワシントン州より非営利ボランティア団体として認可を受け、設立されました。米国在住の日系アメリカ人ならびに在米日本人の視覚障害者、病気療養中の方、外出が困難な高齢者などを対象に、日本語の書物を耳で聴いて楽しんでいただくための朗読CDの制作と無料貸出、日系高齢者施設での対面朗読会、個人宅や団体への訪問朗読「声の出前」のボランティア活動を行っております。
長く海外に居住する人間にとって、母国語の文学や文芸作品を手に取り、読むことができるのは大きな喜びであり心の安らぎです。しかし様々な理由から、これらの作品を読むことができない状況におかれている方々に、朗読を通して読書の喜びをお届けしたい、そんな思いから私達の活動がスタートいたしました。
コロナ禍の中、やむを得ず訪問朗読を一時停止しなければならない時期には、インターネット
05/05/2026
ニュースレター No.261
2026年5月1日
ここ数日は日差しがまぶしいほどの春の陽気です。桜の木は青々とした葉を広げ、木蓮は桃色のつぼみを上へ上へと広げています。
重力に逆らうかのように空に向かってさやが伸びる空豆。桜が咲いてから2か月後の間が、その土地の空豆の旬と言われており、シアトルでは5月中旬から下旬あたりに収穫できるようになります。四国では四月豆、静岡では五月豆という名前がついています。九州では唐豆とも呼ばれ、今から千三百年前に中国からやってきたときの呼び名がそのまま残っています。元のお国の中国では、さなぎになる前のお蚕の形に似ているというので「蚕豆」。原産地は中央アジアから地中海にかけてで、紀元前五千年の新石器時代から食べられてきたという歴史の長い作物です。
炒った空豆、はじけ豆は明治時代の学生に人気のおやつで、ちょっと気取って「金平糖」などと呼ばれたそう。
白木綿の兵古帯に、小倉袴を穿いた学生の買物は、大抵極まっている。所謂「羊羹」と「金米糖」とである。羊羹と云うのは焼芋、金米糖と云うのははじけ豆であったと云うことも、文明史上の参考に書き残して置く価値があるかも知れない。
(「雁」 森鷗外)
日に日に春めくこの季節を楽しまれますよう。
04/05/2026
ニュースレター No.260
2026年4月1日
先週は朝夕にあられが降るほど冷たいお天気でしたが、その後ぽかぽかと暖かな陽気に恵まれ、ワシントン大学の桜も見頃とのニュースを聞きました。お花見となると「花より団子」のことわざがすぐに思い浮かびますが、この「花」は最初は桜ではなくつつじをうたったものでした。
花よりも団子と誰か岩つつじ (俳諧・新撰犬筑波集 1532年頃)
「岩つ」が「言わず」とかけてあり、花より団子は誰でも思うよね、という意味のようです。
天下を取った豊臣秀吉は、晩年に開いた醍醐の花見に千人以上の女性を招き、お茶菓子にかわいらしいものを、と三色団子をふるまったそう。お花見は徐々に貴族の行事から庶民の楽しみになり、江戸時代にはお団子屋さんが京都から関東に広まって、団子を食べながら桜を愛でる大衆文化となりました。同じ頃に、「花より団子」が江戸いろはかるたの「は」のことわざとして定着しました。
アメリカでお団子屋はなかなか見つかりませんが、春の日差しの中、花に見とれる平和なひとときに、気持ちも明るくなります。季節には心を動かす力がありますね。
メンバーによる定期訪問朗読報告
2026年4月4日 土曜日
訪問先: 日系マナー
読んだもの:
婦人公論から、美輪明宏の菩薩の随筆
03/07/2026
ニュースレター No.259
2026年3月1日
3月です。まだまだ頬にあたる風は冷たいですが、木々の枝先は緑の芽をつけ始め、夜になるとカエルの合唱がきこえるようになりました。春の訪れを告げる和菓子として日本人に親しまれている草餅。今はよもぎを使いますが、平安時代は春の七草である母子草を練りこんだ節句菓子でした。歌人の和泉式部も我が子に草餅を送っています。
《前書き 「手筥(てばこ)にくさもちひ(草餅)入れて奉る」》
「花のさと心も知らず春の野に いろいろつめるははこもちひ(母子餅)ぞ」
(和泉式部)
中国では旧正月を過ぎたあとに柔らかいよもぎのお団子、青団という点心が作られます。 ベトナムでも、もち米をまぶして蒸した母子草のお餅がおやつや朝ごはんに人気だそう。よもぎとは関係ありませんが、アメリカでは3月17日に緑色の服を身に着け、緑のお菓子を食べる聖パトリックデーがあります。春の陽気にうきうきする心は、人類共通なのでしょう。
「両の手に桃と桜や草の餅」 (松尾芭蕉)
あたたかな日差しが人々の心にも穏やかさを運んでくれますように。
メンバーによる定期訪問朗読報告
2026年1月3日 土曜日
訪問先: 日系マナー
読んだもの:
ひらがな暦(おーなり由子)より 「なまはげ」「かまくらまつり」
古典落語100席(立川志の輔 編) より 「そばの殿様」
02/03/2026
ニュースレター No.258
2026年2月1日
2月3日は節分の日。煎り大豆が手に入らない年には棚にあった乾燥豆や落花生などを投げてしまっている我が家ですが、日本でも北方面で落花生を使う地域があるそうです。
節分は中国から伝わった「追儺(ついな)」という風習に由来し、季節の変わり目に4つ目のお面をつけた祈祷師が五穀を用いて疫病を脅し追い払う儀式から始まりました。日本で五穀は鬼の目を打つという意味の「魔目(まめ)」=豆に代わり、お面を被った方が鬼となり逃げる側となって、現在の形に至ります。
大豆もまた、中国の生まれです。4000年前より黄河流域で栽培されていた大豆は、2000年前あたりに煎り豆として日本に渡ってきました。18世紀に醤油の美味しさをヨーロッパに伝えようとしたオランダ会社が、薩摩弁の「そい」を大豆のことと勘違いしたことから英語でsoy beansと呼ばれるようになったとの説があります。
泉鏡花はなぜか節分の時分に何度か火事に見舞われたらしく、この時期になると炎を連想させる事柄に過度に怯えたようです。
あいにく風が強くなつて、家の周圍を吹きまはる雪が、こたつの下へ吹きたまつて、パツと赤く成りさうで、一晩おびえて寢られなかつた。
.. これが節分の晩である。大都會の喧騷と雜音に、その日、その日の紛るゝものは、いつか、魔界の消息を無視し、鬼神の隱約を忘却する。
(「火の用心の事」泉鏡太郎 <鏡花の本名>)
先週よりアメリカは中西部から東部にかけて寒波に見舞われ緊急事態となっています。暦の上では春が近づいていますが、どうぞ皆さま暖かく過ごされますよう。
メンバーによる定期訪問朗読報告
2026年1月3日 土曜日
訪問先: 日系マナー
読んだもの:
『枕草子』の現代文訳より、
春は曙をはじめ、心きらめく日本の四季
『日本人の知恵袋』から
宵越しの茶は飲むな、弱った魚は目でわかる
『日本語根掘り葉掘り』から
そこを何とか
01/01/2026
ニュースレター No. 257
2026年 1月1日
明けましておめでとうございます。みなさま、よいお正月をお迎えのことと思います。
シアトルの大晦日は、北米最大というドローンと花火を組み合わせたカウントダウンショーが計画されていましたが、朝からの霧が夕刻からますます深くなり、残念ながらドローンのパフォーマンスは中止になってしまいました。それでも、霧の中で一転して幻想的になった花火ショーですが、集まった人々は賑やかな年越しをしました。
一月の異称の一つ「初見月(はつみづき)」。「見」には、人と会うという意味もあります。昨日までと変わりはなくても、年が明けると、見るものも、出会う人も、「今年初めて」になります。そう思ってみると、見慣れたものでも、いつも会う人でも新鮮に感じられます。この一年、新しいどんな出会いが待っているのか、どんな新しい体験をすることができるのかと思うと、胸が弾みますよね。そしてよく知られている「睦月(むつき)」。身分の上下なく、老若男女、親族一同が集まって睦び(仲良くし)あう月の始まりです。
年末には山間部では、かなりの降雪が見られました。例年訪れているカナダのウィスラースキー場でも美しい雪景色になりました。
『 限りなく 降る雪何を もたらすや 』
(西東山鬼)
いつ止むかわからない程に降り続く雪。この雪は、この世に何をもたらすのであろうか、いや、もたらしてほしい。2026年こそ、世界に平和がもたらされますようにお祈りいたします。新年もみなさまのご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
メンバーによる定期訪問朗読報告
2025年12月20日 土曜日
訪問先: 日系マナー
読んだもの:
* ねむい町(読んでおきたい名作、小学4年)
* 花咲き山(紙芝居)
* はしの上のおおかみ(紙芝居)
* もし、結婚したいと思う人と出会った時は(もし、明日キミに会えいないとしたら、高島大)
12/02/2025
ニュースレター No.256
2025年12月1日
感謝祭が過ぎると急に冷え込む夜が多くなってきました。ワシントン州も内陸のほうでは雪が降り積もったとか。冬の到来、あったかい鍋や汁物に欠かせないのが、ネギ。
古く中国から日本へ渡ってきたネギは、奈良時代の「日本書紀」に「秋葱(あきぎ)」という名で出てきます。古名は「き」という一文字で、白い部分が食用であったことから「根」をつけて「ネギ」と呼ばれるようになったと考えられています。浅葱(あさぎ)色というと薄いネギの色から由来する、緑がかった鮮やかな青です。
もともと東日本では白い部分が多い長ネギ、西日本では葉っぱの部分が多い青ネギが栽培されていました。アメリカには意外と遅く19世紀あたりに登場し、玉ねぎの若い芽である細っこいscallionまたはgreen onionが日本の青ネギに近く、サラダやディップに使われます。長ネギはなかなかお目にかからないのですが、食感で言えばleekという平べったいネギが白い部分が多く、甘みがあります。
芥川龍之介の短編「葱」には、デート中にもかかわらずネギを買ってしまうお嬢さんが出てきます。話のモデルは宇野千代さんだそう。
あらゆる物価が暴騰した今日、一束四銭と云う葱は滅多にない。この至廉(しれん)な札を眺めると共に、今まで恋愛と芸術とに酔っていた、お君さんの幸福な心の中には、そこに潜んでいた実生活が、突如としてその惰眠から覚めた。
.. 「あれを二束下さいな。」
(「葱」芥川龍之介)
今年一年、世界のあちこちでさまざまな出来事がありました。メンバーの皆さん、そしてボランティア先などで出会った方々との大切なつながりのおかげで、ボイスライブラリーは活動を続けてこられました。本当にありがとうございます。来年もこのつながりを大切にしながら、共に歩んでいければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
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