ちえの木の実-たいせつな一冊に出会う場所-

ちえの木の実-たいせつな一冊に出会う場所-

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4月に入り、新生活が始まった方も多くいらっしゃるでしょう。
楽しみなことも多いけれど、不安や緊張でドキドキしてしまう場面も多いですよね。

私は新しい環境が苦手なので、小さな時は何かとよく泣いていました。

幼稚園入園の日に「行きたくない」と大泣きして母に怒られたこともよく覚えています。
4月の中頃、同じように新しい環境で毎日頑張っている小さなお子さまにも、大人の皆さまにも。
読めば少し勇気がわいてきそうな絵本をご紹介します。

天気のことや、くつのこと、なんでも心配で、いつもびくびくしているビリー。

パパもママも温かくなぐさめてくれますが、心配は尽きません。

ある日、おばあちゃんのおうちに泊まりにいったビリー。
自分のおうちではないから、もっと心配で眠れなくなってしまいました。

「ねむれない」とおばあちゃんのところに行くと、おばあちゃんがいいものを探し出してくれます。ビリーはそのおかげでぐっすり眠ることができたのでした。

おばあちゃんが教えてくれたのは、グアテマラに昔から伝わる、おまじないの人形。

その人形にビリーがしてあげたことも、すごくかわいらしくて素敵なアイディア!

「ぼくはよわむしだ」と思うビリーに対して、「よわむしなんかじゃないさ」と励ましてくれるおばあちゃんの優しさが胸にしみます。

最後のページの、ポケットに手を入れて歩いているビリーの笑顔がとってもいい表情で、大好きです。

                            (スタッフ金澤)
書籍名:びくびくビリー
出版社:評論社
著者:アンソニー・ブラウン/作  灰島かり/やく
出版年:2006年
定価:1,430円(税込)
こんにちは。
衣替えをした直後なのにコートの出番……。
桜が一気に咲いた直後に、大粒の冷たい雨……。
なにかと落ち着かない春の日々が続いていますね。

新しい生活がはじまる4月。階段を1段のぼる子どもたちの姿を見るたびに、記憶の引き出しがスッと開き、読みたくなる本があります。
ひょんなことから学校に行けなくなったまま、中学生の門をくぐる準備をするまゆ子とふたりの少女の出会いと友情、成長の物語『緑の模様画』。
読むたびに懐かしさが蘇り、登場人物の輪郭がどんどんはっきりしてくる本です。
何かが動き出しはじめる今、ぴったりな1冊です。

まるで春の風に誘われるように、まるで妖しい何かに突き動かされるように、出会うべくして出会った、この春中学生になる3人の女の子。
突然なにかがぷっつりと切れ、心の風邪をひいていたまゆ子が出会ったのは、親元を離れて女子校で寮生活をするアミと、寮の舎監室に暮らすテトでした。
そして彼女たちの友情のきっかけとなったのが、『小公女』という1冊の本でした。

『小公女』の主人公、セーラの高潔さに憧れを抱く3人は、3人でいるときだけに起こる不思議な体験に心を揺さぶられます。
茶色い瞳の青年、白髪の老人、クローバーの茂る秘密の場所、高い塔に現れる黒い影……。
彼女たちの目に映りこむ「色」が、読者にくっきりとした印象を残してくれる物語です。
そんな「色」に導かれながら、絡み合った糸を辿るうちに、子どもは子どもの、大人は大人の、見えづらかった答えが見えてゆくのです。

ささいなことに笑い転げていた12歳が読んでも、心も身体もぐんぐん育とうとしている子どもを持つ親世代が読んでも、思い出の本と共に人生を振り返る世代が読んでも、それぞれの心に熱いなにかを灯してくれるでしょう。
ピンク色から緑色へ季節の色が移ろう頃に、『小公女』を傍に置いて読みたい1冊です。

(スタッフ 武本)

書籍名:緑の模様画
出版社:福音館書店
著者:高楼方子/作
出版年:2007年
定価:1,760円(税込)
4月も、ちえの木の実おはなし会を開催いたします。
いつも来てくださる方も、はじめての方も、お気軽にお越しください♪
皆さまとお会いできることを楽しみにしております。
遅くなってしまいましたが、4月の営業についてお知らせいたします。
桜も雨と寒さにたえているようなお天気ですが、ちえの木の実は本日も色とりどりの本をそろえてお待ちしております。
今日は午前中に、赤ちゃん向けのおはなし会を行いました。
いらしてくださったかわいい皆さま、ありがとうございました♪
今週の土曜日、3歳くらいのお子さま向けおはなし会も、まだ空き席がありますのでぜひお待ちしております!

すっかり光の色が明るくなって、目にまぶしい季節になってきました。
自分の気持ちものびのび、むくむく、木々の芽といっしょにふくらみますね。

この季節にぜひ読んでいただきたい本を1冊、ご紹介します。
この本を読んで、美しい四季を感じられる場所に住んでいることに、そしてまた、自然の小さなうつろいを感じられる日常に感謝したいと思いました。

主人公は、“はる”。
「わたしが めを さますと さむさは だんだん やわらいできます」

ふゆとバトンタッチをして、何カ月かしたらまた、なつとバトンタッチ。
1年、また1年と、ずっとそれをくりかえしてきたのですが……。
ある時ふと、あきには会ったことがない、あきはどんな子だろう?と、思いをはせます。
決して会うことはないあきに、はるは手紙を書くことにしたのでした。
(はるとあきが絶対に会えないだなんて、気がつきませんでした!)

『はるとあき』は、1年に1通ずつの、ふたりの往復書簡のお話です。

わたしたちはふたりの手紙を読みながら、季節を1つひとつ味わい、その豊かさ・美しさをかみしめます。
いろんな音・におい・色が自分の中にわきあがってくるみたい。

手紙をやり取りしているうちに、ふたりの気持ちはどんどんふくらんで、揺れ動いていきます。
相手の見えない景色を見せてあげたいと思ったり、相手と自分が全然違うと思ってショックを受けたり、どこか似ているよと言われて嬉しくなったり。
小さな子でも、思春期のお兄さんお姉さんでも、きっと共感してしまいますね。

会えなくても、想いを届ければ絆は紡がれていく。
私も遠くの友人に手紙を書きたくなりました。
                    (スタッフ 金澤)

書籍名:はるとあき
出版社: 講談社
著者:斉藤倫・うきまる/作 吉田尚令/絵
出版年:2019年
定価:1,430円(税込)
3月のおはなし会のご予約、受付中です!

あかちゃん 3月17日(木)11:00~
3歳くらい~ 3月19日(土)14:00~

春の絵本、紙芝居、手あそびなど、ご用意しています。
ぜひあそびにいらしてください。
こんにちは。
ぬくぬくのお布団から出られず、お寝坊続きだった冬が過ぎ、朝起きて窓を開けると心地よい風が入る季節になりました。
小さな花や虫を見つけようと、子どもたちが身をかがめて「春さがし」をする姿は、ずっと眺めていたいほどです。

ずっと眺めていたい……といえば、子どもの寝顔。そして寝姿!
静かな寝息をたてる穏やかな表情と、すべての力が抜けきった投げ出された手足に釘付けになる親は多いのではないでしょうか。
私も、やっとやっとの自由時間、気がついたら我が子が起きるまでその寝顔に見入っていて、眠れなかった日々を思い出します。
子どもも大人も、何にも邪魔されずに、ゆっくりと眠ってほしい……そう祈らずにはいられない今、ご紹介したい絵本があります。

世界中の子どもたちが、自分の寝床を教えてくれる『ここがわたしのねるところ』。
「ここは」ではなく「ここが」と、まるで指をさして伝えてくれようという意思すら感じる絵本です。
オランダの屋形船の上では、たぷたぷとゆれながら寝る女の子が。
むし暑いインドでは、虫に刺されないように蚊帳のなかで。
日本では、畳の部屋に布団を敷いて。

目が覚めるまでそっとしてあげたくなるような、満ち足りた時間に包まれている寝顔の子どもたち。
1人ひとりが、その国の風土にあった部屋(屋外であることも!)や寝具、眠り方をしています。

表紙も、すべてのページも、1針1針、想いが込められた刺繍でつくられています。
国の特徴を表すデザインや文様、その地に生息する動植物、家屋の形、空の色までが、繊細かつ大胆で、異国の香りを存分に楽しめます。
国は違えど、子どもが安らかに眠る姿は、平和の象徴。
静かで穏やかな音で子どもたちを包み、安心できる寝床を守ってあげたいですね。

(スタッフ 武本)

書籍名:ここがわたしのねるところ -せかいのおやすみなさい-
出版社:福音館書店
著者:レベッカ・ボンド/文 サリー・メイバー/作画 まつむらゆりこ/訳
出版年:2022年
定価:1,430円(税込)
毎日寒い寒い!晴れの日も多いはずなのに、なんだかどんより灰色の空が多いように感じてしまいます。
灰色の空、というと思いだす絵本があります。

実際にはページを開くと、かわいらしく鮮やかで、深みのある色にあふれているのだけれど……。グレーのイメージがあるのは、主人公のボルカの不安な気持ちを表しているのと、最後に見つけた居場所が、ロンドンのキュー植物園だったからなのかもしれません。

でも、冬を乗り越えると春が来る。ボルカもそうやって、人生の春を見つけたのです。

ガチョウの夫婦、ポッテリピョンさんのところに生まれた6羽のひなたち。
その中の1羽の女の子、ボルカには生まれつき羽がはえていませんでした。

お母さんはボルカに灰色の毛を編んで、羽に似たものを作ってあげます。
でも、ボルカは、飛ぶことも泳ぐこともできません。家族が遠いところへ移動した後はひとりぼっちになってしまいました。

その後、ぐうぜん乗り込んだ船で、出会った仲間たち。
ボルカに新しい世界がひらけるのでした。

自分にも、「どうして私はこうなのだろう?」とか「あの人みたいになりたいのに」と
悩んだ時期がありました。(大人になった今でもたまにくよくよします)
誰もが、人生の中で一度は抱える問題ですよね。

けれども、何にも飾らない、そのままのあなたを愛してくれる友が1人でも見つかれば、
自分を肯定できるようになる。
ボルカのように、居場所を見つけられる日がやってくる。
かつて悩んでいた自分への、そして、これから同じような悩みにぶつかるかもしれない子どもたちへの、作者からの温かいメッセージを感じました。

他の誰とも違う、唯一無二の魅力にあふれたジョン・バーニンガムの絵と物語の世界。
あたたかみがあって、たくさんの豊かな日本語に触れられる、木島始さんの名訳も味わってほしい1冊です。
                           
(スタッフ 金澤)
書籍名:ボルカ はねなしガチョウのぼうけん
出版社: ほるぷ出版
著者:ジョン・バーニンガム/作 きじまはじめ/訳
出版年:1993年
定価:1,650円(税込)
*2月のおすすめ本①*

こんにちは。
立春を迎え、暦の上ではもう春。
いよいよ春が来るのね、と思いながら通りを歩くと、陽ざしがほんの少しあたたかく感じられ、土から何かが顔を出しそうな気がして、ふと笑みがこぼれます。

小さな子どもたちが思いっきりしたいことを「もうちょっとがまんね、もう少しだから……」と言い続けて、どれくらい経つでしょうか。
そうこうしているうちに、小さかった子どもたちの背は少し伸び、びっくりするような言葉を言うようになって大人を驚かせてみたり……。
私たちは決して止まっていないんだな、と感じます。
そんな子どもたちや、自分へのご褒美として、ぬくもりのある絵本を贈ってはいかがでしょうか。

絵本の扉には、大きな緞帳(どんちょう)が。
さあ、『HUG』という舞台の、HUGのある日常の物語のはじまりです。
おかあさんのおなかに手をまわして、ぎゅっと顔を押しつける男の子。
サーカスのピエロを抱きしめるクマ。
大きなマントを広げて、お姫さまを抱きかかえる王子さま。
それから、それから。

ハグしたくなるのは、人だけではありませんね。
自分の楽器を大事に抱える人たちもいます。
いっしょに家を抱きながら運ぶ人もいます。
それから、それから。

この絵本には、文字がありません。
文字はないけれど、言葉がある。
HUGをするそれぞれのシーンに、誰かの物語がある、そんな絵本です。

ひとりで、または、大切なだれかと、そっとこの絵本を開いてください。
絵本を開くたびに、ぬくもりに包まれます。また、そのぬくもりを感じたいからこの絵本を開きたくなるのではないでしょうか。
そして、そのぬくもりは、自分がひとりじゃないことや、心の中にあるやさしさを思い出させてくれるのではないでしょうか。

(スタッフ 武本)

書籍名:HUG
出版社:サンリード
著者:junaida/作
出版年:2012年
定価:1,760円(税込)
*1月のおすすめ本②*

今日は大寒、1年で一番寒い時期。お外に出ては「さむいさむい!」と首を縮めてしまいます。
この季節には、あたたかい部屋で、ゆったり読書を楽しむのもよいですね。
(ちえの木の実で、座って本を読んで過ごしていただくのも大歓迎です!)

人によって好きな本のジャンルは違うと思いますが、時には垣根を越えてみるのも面白いものです。
私は“児童文学”とジャンル分けされているものも職業柄たくさん読んでいますが、優れた作品に出会うたびに、「これを大人が読まないなんてもったいない!」と思います。

ぜひ、毎日を一生懸命生きているすべての子どもと大人に、この1冊を読んでほしいなあと思っています。

ある事件がもとで家族が行方不明になってしまい、ひとりぼっちで暮らしている河童の子ども、八寸。
物語は、八寸が、長老に命じられて、猫の姿に化けて人間を観察するという修行に出されるところから始まります。
八寸はまだまだ小さくてたよりない子猫(子河童)なので、うまく人間に近づけずにいましたが、偶然、麻という女の子とチェスタトンという犬が暮らす家で暮らし始めます。麻は、お母さんを亡くしたばかりでした。

かわいらしい八寸の奮闘ぶりと、信頼できる存在である麻とチェスタトンとの出会い。
楽しく読み進めていくうちに、麻の抱える心の痛みが浮き彫りになっていき、後半は何度も感情を揺さぶられ、涙が出ました。

「この花がきれいだってことが、どうして私にわかるんだろう。」
「お母さんが、美しいって教えてくれたから? お母さんが教えてくれなかったことを、自分はこの先どのように感じるのだろう。」

麻は八寸と過ごす中で、だんだん自分の感じることが信じられなくなっていきます。

でも、麻にもう一度前を向く力を与えてくれたのは、一番近くにいる家族。亡くなったお母さんとのノートと、お父さんとチェスタトンと、八寸でした。

最後の別れの時、八寸は一つだけ、念じつづけます。
「麻、ぜったいに、わすれないで」

人を本当に想うとはどういうことなのか。生きていく上で忘れてはいけない、大切なことは何なのか。この1冊が、再確認させてくれました。

今では八寸と麻とチェスタトンが、自分の心の友だちのように感じます。
友だちのこと、ずっとずっと忘れないよ。(嬉しいことに、2巻目で再会できますよ!)
                               (スタッフ 金澤)

書籍名:かはたれ
出版社:福音館書店
著者:朽木祥/文 山内ふじ江/絵
出版年:2021年(ハードカバー版は2005年)
定価:770円(税込)
*1月のおすすめ本①*

新年あけましておめでとうございます。
雪の舞う日ですが、ちえの木の実の店内は、絵本のぬくもりでいっぱいです。
今年もたくさんの笑顔との出会い、再会がありますように。
お店でお待ちしています。

2022年は、寅年。
獰猛で近よりがたいイメージがありますが、絵本の中に描かれるトラは、繊細でおちゃめでお人よしだったり……。
1968年にイギリスで出版されてから、50年以上も愛され続けている、トラの不思議なおはなし『おちゃのじかんにきたとら』をご紹介します。
初めて読んでから幾年がたっても、私が憧れ続けているトラは、この絵本の中だけにいます。

ちいさなおんなのことおかあさんの、あたたかいお茶の時間に、ベルを鳴らしてやってきたのは、1ぴきのトラでした。
毛むくじゃらで、大きな、しまもようのトラは
 「おちゃのじかんに、ごいっしょさせていただけませんか?」
とていねいにあいさつをすると、おちゃに招かれます。

ところがこのトラ、サンドイッチだけではなく、パンに、ぎゅうにゅう、おちゃ……、と家じゅうの食べものを、次から次へとたいらげてしまうんです。
部屋を優雅に歩いてまわり、冷蔵庫や戸棚、水道やおふろのみずまで、ぜんぶ!

おんなのこやおかあさんは、というと、この様子にまったく動じることはありません。
トラが食べているあいだ、おんなのこはトラにぴたっと寄り添って、ふさふさのしっぽをなでていたり。(この姿がなんとも愛くるしい!)
次のトラの訪問をまっているような、余裕の行動さえも描かれています。

驚きの訪問客の、傍若無人ともいえかねない物語ですが、絵本を閉じるまで、いえ閉じてからも、こんなにも穏やかな気持ちでいられるのはなぜでしょう。
エレガントで礼儀正しいトラの姿、目の前の現実をすべて受け止めて包み込むこの家の人たちの寛容さ、ていねいな言葉づかい、レトロでおしゃれな画風、すべてが読み手の心をやさしく揺り動かすからでしょうか。
日々スピードが求められる今ですが、この絵本を開いている間と、読み終えたあとの時間、少しだけでも減速して、だれかと「おちゃのじかん」や「おしゃべりのじかん」を過ごすことができますように。

(スタッフ 武本)

書籍名:おちゃのじかんにきたとら
出版社: 童話館出版
著者:ジュディス・カー/作 晴海 耕平/訳
出版年:1994年
定価:1,650円(税込)
【2022年1月の営業について】

あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

ちえの木の実は、本日より以下のように営業をスタートします。

11:00~18:00までの短縮営業
定休日:火曜日

※2月以降の営業日時については、状況をみて判断し、
 決まり次第改めてお知らせいたします。
※感染症対策・当面の2Fのご利用につきましては、ホームページをご覧ください。
https://www.chienokinomi-books.jp/index.html

ご不便をおかけして大変申し訳ありませんが、
ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

東京恵比寿にある、子どものためのセレクト・ブックショップです。
絵本

18/10/2023

こんにちは。
今年の長い長い夏は、なかなか秋にバトンを渡そうとしませんでしたね。
短いけれど、イベントの多い秋。爽やかな風を感じながら、からだを動かしたくなる秋。
ハロウィンも、秋の味覚も、スポーツも、芸術も……絵本といっしょに楽しみたいですね。

子どもの頃に読んだ絵本を、断片的な記憶を頼りに探されるお客さまが、よくいらっしゃいます。
その記憶は、あるページの1シーンだったり、うろ覚えのフレーズだったり。
主人公の名前だったり、食べものや持ちものの特徴だったり。
こちらも本の探偵さながら、お探しの絵本に辿り着けるよう、なるべく多くの情報を聞き出します。
今回は、私自身も長い間忘れられなかった『リッランとねこ』をご紹介します。
探すときのキーワードは「ネコに乗った女の子」「強いネコ」「ネコのおなかが爆発する」あたりでしょう。
訳と装丁を変えての復刊。幼馴染と再会できたときのような、あたたかい気持ちになる絵本です。

「リッラン」とはスウェーデン語で「小さい子(親しみをこめた呼び名)」。
黄色い大きなねこの背中にまたがった、赤いお洋服の女の子がリッランです。
ギラリとした目に、こわさと驚きを隠せなかったリッランでしたが
 「ぼくは やさしい ねこですよ。こわがることはありません」
のひとことで、ねこの背中に乗ることになりました。

たったかたったか、かけだすねこ。そのはやいこと、はやいこと!
おんどり、ぶた、がちょう、あばれんぼうの牛まで、道で出会う動物はみんな、ふたりをこわがって逃げだしてしまいます。
しまいには、鼻がのびる、へんなおじさんまで。
そうです、おもちゃのむちを持ったリッランと、リッランを乗せて走るねこのコンビは、無敵なのです!

リッランがやっとねこから降りたのは、王さまのおしろでした。
ふたりは、お客さんとしてもてなされ、夢中で食べて、飲んで……ねこのおなかは爆発です。
でも大丈夫。王さまには、腕のいい仕立て屋さんがいましたから……。

この物語は、ひとりの父親であり夭折の画家である作者が、ひとり娘「リッラン」に遺した絵本なのです。
病身の父親が描く、頼もしい相棒との冒険。母親のぬくもりに包まれるラストページ。
シンプルな線画なのに、なぜかしらこの無敵コンビに背中を押されるのは、そんな父親の愛情がにじみ出てくるからかもしれません。
ほとんどのページが、横向きの人物と動物の姿。ページを開けたら進むしかないんだよ、と言われているかのようです。
1909年にスウェーデンで出版された絵本。100年という時を経てもなお、絵本を読むたびに天国から、こんな声が届きそうです。
「これから進むであろう道、どんなことがあってもだいじょうぶ。ねこの背中に乗っているんだから。手には(おもちゃの)むちがあるんだから」
まるでお守りのような絵本です。

(スタッフ 武本)

書籍名:リッランとねこ
出版社:徳間書店
著者:イーヴァル・アロセニウス/作・絵 ひしきあきらこ/訳
出版年:2022年
価格:1,760円(税込)

01/10/2023

夏の暑さも和らいでくると、ちょっと外へでかけたくなります。
動物たちも同じ気持ちなのでしょうか。
みんな、思い思いのところへおでかけしていたようです。
ほら、ちょうど帰ってきましたよ。

まずはじめに登場するのは、双眼鏡を首にかけて、自転車に乗ったねこ。
どこへいっていたのでしょう?

 あっち きょろきょろ
 こっち きょろきょろ
 ぶらぶらしてた

自転車のかごにはお花がたくさん。
きっと「ぶらぶら」していたらきれいなお花が目について、
摘んで帰りたくなったのでしょう。
自分の帰りを待っている、家族にあげるのでしょうか。
それとも、住み心地よく整えた、自分だけの「城」にそっと飾るのでしょうか。

クローバーの原っぱにうっとりしていたうまに、
道のまんなかをさんぽしていたひきがえる。
くじらは嵐の大波を乗り越え、
ことりは、高く高く、もっと高く、と空を飛ぶ。

なんて自由でのびのびしているんでしょう。
目的がなくたって、いいじゃない。
なんの役に立つのかなんて、分からなくたっていいじゃない。
それでも熱中できるって、なんて尊いことでしょう。

 うさぎ うさぎ 
 なぜ はしる?
 なぜって きまってる
 たのしいじゃないか
 はしるって

ときにはなんにも考えず、目的地も決めないで、
おさんぽにでかけるのもいいんじゃない?
思いがけない冒険に出くわしたとしても、
帰るおうちはあるのだから。

(スタッフ 谷口)

書籍名:どこへいってた? 
出版社:童話館出版
著者:マーガレット・ワイズ・ブラウン/作 
   バーバラ・クーニー/絵 うちだりさこ/訳 
出版年:2005年
定価:1,210円(税込)

21/09/2023

「あっ、お月様―!」
子どもはお月様を見つけるのがとっても早いので、よくこう言って空を指さします。昼間の白い月もすぐ見つけてくれるし、私自身、昔よりも空の月を気にかける機会が増えたように思います。

今、ちえの木の実にはウィンドウから特集棚まで、月の絵本がずら~っと並んでいます。
こんなに月の絵本ってたくさんあるんだなあと驚いてしまうくらい。太陽の絵本はこんなにたくさんないのに……。どれだけお月様が愛されているかがわかりますね。
今年の中秋の名月は9月29日、あともう少しですよ。

今日は月の満ちかけをテーマにした絵本をご紹介します。
空に浮かんだ月を見て、「三日月もきれいだな」「ああ、昨日よりちょっと太ったな」なんて感じる瞬間があります。
そんな風に、誰の心にもお月様はいつもささやかな光を投げかけてくれているように思います。

『月の満ちかけ絵本』は新月から順に、月が満ちてまた欠けていくまでの29日半ひとめぐり(朔望月)を詳しく追った絵本です。

この絵本がおもしろいのは、月の科学的な側面だけではなく、昔の人がどんな風にお月様と向き合っていたかがわかること。
毎日形が変わるお月様にそれぞれ違う名前をつけて、お月様に望みを託していたみたい。
「繊月」「弓張月」「豆名月」「望月」「いざよいの月」……。
なんて美しい言葉を、日本人はお月様に名づけていたのでしょうね。
語りかけるような文体で、昔の人がそれぞれの名前にこめた想いを教えてくれます。

それは同時に、電気がなかったころ、どれだけ人々が月の光をたよりに暮らしていたかということに思いをはせることでもあります。
そして日々形を変える月が、カレンダーや時計がない時代に、人々の暦を知る拠り所になっていたというのもすんなりとわかるのです。

それぞれの名前にこめられた人々の想い。忘れられずに、ずっと伝わっていってほしいなあと感じます。
( スタッフ 金澤)

書籍名:月の満ちかけ絵本
出版社:あすなろ書房
著者:大枝史郎/文 佐藤みき/絵
出版年:2012年
定価:1,540円(税込)

06/09/2023

こんにちは。
初めて味わった、すべてが真夏日の8月。さらに上をいく、猛暑日。
まだ名前のない、連日の超猛暑日が来年あたりには待っているのでしょうか。
それでもカレンダーを1枚めくって、9月がはじまりました。
暑い中でも確実に日は短くなり、日が落ちると、秋の虫たちの鳴き声が届きます。
本当に、秋、なんですよね? 

どことなく秋色の絵本『いろいろおせわになりました』は、わらべ歌であり、なわとび歌。
日が暮れてもずっとなわとびに夢中だった子ども時代を、ふと思い出します。
歌いながら飛び、飛びながら歌う。なわを上手にまわすことにもいっしょうけんめいでした。
子どもたちがあそぶ声、歌う声、っていいですね。
そんな子どもたちの元気いっぱいの声を聞かせてくれる、とっておきの1冊です。

いつごろ出合ったのか、誰に教わったのか思い出せないけれど、からだに染みついたメロディーというのがありませんか? また、メロディーというほどでもないけれど、音階となって口からでてくることばなど。
たとえば「あーそーぼー」(ソーファーソー)。
そして「いーいーよー」(ソーファーソー)(同じ!)。
この「いろいろおせわになりました」もその1つ。たったの3音(ドレミ)で歌える、わらべ歌です。

 おーちゃを のーみに きてください
  はい こんにちは
 いろいろおせわになりました
  はい さようなら

お茶をのみに……なんて、粋な誘い方!
はじけるような笑顔のごあいさつを交わしたあとは、
いろいろおせわになりました……なんて大人っぽい言いまわし。カッコいい別れのことば。
なわとび歌として、からだも心も弾ませながら飛んでいた幼少時代が蘇ります。

絵本のなかに次々とあらわれる、「お茶をのみに」やってくるトモダチにもご注目を!
やぎゅうげんいちろうさんの描く子どもたち、そして次元を超えたトモダチ……。
なにやら大事そうに身に着けている物(お土産ですか? お呼ばれしたから?)が、別れのごあいさつのあと、お互いに交換されているのも、見逃せないポイントです。
ああ、こうしてなかよくなったのね、と裏のストーリーを無限に想像できるのです。

やぎゅうさんの絵に触れると、隠れていた自分の中の子どもが目を覚まし、ポンッと飛び出すのが分かります。
「いいのおー?」「いいんだよねえー」(やぎゅうさん風に)というふうに。
やぎゅうさんの絵には、いつでもどこでも歌える、わらべ歌みたいな気軽さがあります。
あそんだり、まねっこしたり、動き出したくなるような、童心をくすぐる力があります。
そして、安心感、信頼感という名の肌着のような、ぬくもりもあります。
この絵本を開いて歌うと、大人も子どもも、くにゃっと「いいおかお」になるわけですね。

(スタッフ 武本)

書籍名:いろいろおせわになりました
出版社:福音館書店
著者:やぎゅうげんいちろう/作
価格:990円(税込)

17/08/2023

こんにちは。
今日は夏休みにぴったりな、冒険のお話をご紹介しますね。

ある日、機関士ルーカスは、年の離れた大親友ジム・ボタンと共に、生まれ育ったフクラム国を出る決心をします。というのも、フクラム国は私たちの家を2軒合わせたほどの小さな島で、ジムが大きくなるにつれ、だいぶ「混み合って」きてしまったのでした。
そもそもこんな小さな島にどうして機関車がいるのか、と不思議に思った方もいるでしょう。でもご安心ください。ちゃんと語り手が答えてくれています。「それはね、機関士には機関車が必要だからです。機関車がなければなにを運転すればいいのでしょう? エレベーターでしょうか? けれどもそれでは機関士ではなくて、エレベーター操縦士になってしまいます。」さて、島を出るのに必要なものといえば、船ですね。ところがルーカスは船を持っていません。どうするのでしょう? なんと、機関車エマを船に仕立ててしまうのです。海を進む機関車なんて、すてきでしょう?

2人を待ち受けているのは、わくわくどきどきの大冒険。透き通ったガラスのような草木に目を奪われたかと思えば、しましまの山脈や不思議な蜃気楼ただよう砂漠で、危うく命を落としかけます。そしてお姫様を助けるためにドラゴンの街にも乗り込み、宝石きらめく洞窟を通って大脱出!

ジム、ルーカスといっしょに私たち読者も冒険に夢中になれるのは、強固な信頼関係で結ばれたこの2人ならばきっと帰って来られる、という安心感があるからでしょう。それから、滑稽なほどに個性的な登場人物たちが、皆その存在を認められているという温かさにも、支えられているのかもしれません。

ジムとルーカスの冒険は、これで終わりではありません。「けれどもこれは別の物語、いつかまた、別のときにはなすことにしよう」と付け加えたくなるような終わり方。続きが気になる方は、『ジム・ボタンと13人の海賊』も読んでみてくださいね。

(スタッフ谷口)

書籍名:ジム・ボタンの機関車大旅行
出版社:岩波書店
著者:ミヒャエル・エンデ/作 上田真而子/訳 
出版年:2011年
定価:968円(税込)

02/08/2023

子どものころ、川岸に毎年見に行っていた花火大会は、夏休みの大切な思い出。
今年はあちらこちらで花火大会が復活するようで、楽しみですね。

我が家の子どもたちは、まだ本物の花火大会を間近で見たことがないのですが、いつか連れていってあげたいものです。

でも、まずはこの絵本を読んで、大きな大きな花火の魅力を味わってもらいましょう。

ひゅー どーん どーん たーまやー たーぬやー

クライマックスの花火の絵のあたたかさと迫力!
絵本で、こんなにも胸をうつ花火が描けるなんてすごいなあ。
まだ本物の花火を見たことがない、小さな子の心にも残るに違いありません。

主人公ぽんきちのおとうちゃんは花火職人。今夜の花火大会で、おとうちゃんが作った花火があがるのです。

夜にはまだまだ時間があって、待ちきれない。でもおかあちゃんに頼まれて、ぽんきちはおとうちゃんの忘れ物のにぎりめしを届けることになりました。

うきうきと出かけたぽんきちを見て、町の人たちが一人、また一人とついていきます。
ながやのおかみさんも。かみゆいも。てらこやのおししょうさんも。次から次へとついていくから、あっという間に大行列!
そう、ここは(おそらく)江戸の町。町の中に細かく描かれたさまざまなお店や人(動)物を見ていくのもまた楽しく、たしろちさとさんらしいあそび心がつまっています。

まだまだ本当の花火の時間には早いはずなので、この行列は追い返されるのかなあと思っていたら……。さすが江戸っ子! おとうちゃんの粋なはからいに拍手です。

最後のページ、おとうちゃんの肩にのって、おとうちゃんといっしょに夜空の花火を見上げるぽんきち。この親子の後ろ姿が大好きです。
花火職人は、失敗すれば生命を失いかねない危険な仕事。火を出せば死罪や追放となる時代もあったそうです。それでも皆の夢を背負って花火をあげるおとうちゃんが、ぽんきちは誇らしいのだろうなあ。

さあ、皆さんもぽんきちとごいっしょに「たーぬやー」!
                            (スタッフ 金澤)

書籍名:はなびのひ
出版社:佼成出版社
著者:たしろちさと/作
出版年:2018年
定価:1,430円(税込)

20/07/2023

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あのくも なあに? なんだろね。
 カーテンぐもだよ、あのくもは。

青空がまぶしい日、ふと空を見上げてみると、
もくもくふわふわ、いろんな形の雲が浮かんでいます。
わたぐも、すじぐも、にゅうどうぐも……。
でもこの絵本に出てくるのは、聞きなれない名前の雲ばかり。
カーテンぐも、ざぶとんぐも、リボンぐも……。
カーテンぐもはねぼすけ巨人が使っていて、
ざぶとんぐもは天狗の休憩所。
リボンぐもは、だれかの落とし物かしら?

いつも見えてはいるけれど、手の届かない空の世界。
そこには天狗やカミナリさま、竜の親子も住んでいて、
そこで繰り広げられる様々な物語の片りんが、
雲となってわたしたちの目を楽しませてくれているようです。

今日は、だれが何をしているんでしょうね?
空を見上げて、お子さんといっしょに口ずさんでみてください。
「あのくもなあに? なんだろね」
どんな答えが返ってくるのでしょう?
大人が想像もできないような、面白い雲ができあがりそう。
そうしたらきっと、こう答えることでしょう。
「きっとそうだよ。そうかもね」

(スタッフ谷口)

書籍名:あのくもなあに? 
出版社:福音館書店
著者:富安陽子/文 山村浩二/絵 
出版年:2018年
定価: 990円(税込)

02/07/2023

【2023年7月のおすすめ本①】

こんにちは。
梅雨明けの頃は、いつもソワソワしますね。だらだら雨の日が続いたかと思えば、猛暑の日々、そして、突然の雷雨。梅雨なのか夏本番なのか、はっきりしないお天気が続くと、心もからだも崩し気味になってしまう子どもたち、大人たち。
大事をとって園や学校をお休みした子どもたちが、「お医者さんがんばった」ごほうびに、ちえの木の実に足を向けてくれます。
「がんばったね」って、絵本を1冊。
冷たいアイスやゼリーと同じくらい嬉しい、ごほうびではありませんか?

お熱で病床にいると、頭がくらくらするからか、からだがふわふわするからか、いつもは会えないちいさなひとたちを見てしまうこと、ありませんか?
夢なのかもしれないけれど、それが本当ならちょっとすてきです。
『真夜中のちいさなようせい』の作者、シン・ソンミさんが、からだが弱かった幼少期の体験を元に描かれた物語には、「お熱の日のちょっとすてきな時間」が描かれています。

ある真夏の日、熱にうなされる息子の看病をするママ。
息子の枕元で、うつらうつらと、いねむりをしているようです。
ママは眠っているように見えるのに、息子にはちいさな声が聞こえます。そして、傍で眠っていた、猫にも。

その声の正体は、ちいさな妖精たちでした。
きっちり結った髪に、チマチョゴリを身に着けた妖精たち。
ママのかわりに、お薬を飲ませ、熱くなった手拭いを取りかえ、慣れた手つきで看病をしてくれます。
そして、この妖精たち、かつて幼い頃の、ママのお友だちだったというのです。
友だちのしるしの「花のゆびわ」を、大事に持っていました。

「花のゆびわ」をくれた子が大人になり、ママになり、わが子を看病する間も、妖精たちは心配したり、応援したり、なによりあの頃のようにいっしょにあそびたいと願っていたのかもしれません。
息子の看病に疲れ、ふと眠ってしまったわずかな時間、妖精たちを思い出してもらう大チャンスだったのでしょう。
子どもには見えて、大人には見えないもの。子どもは見たいと願っていて、大人は見たいとすら思わなくなってしまったもの。それは意外と身近にあるのかもしれません。
過去と現在をつなぐ「花のゆびわ」は、私たちのすぐそばにも、ころんと転がっているのでしょうね。

原題は『真夜中のアリの妖精』……はい? アリ? と目を疑いました。
妖精=ちいさいもの=アリ、という単純な解釈ではないようです。食べこぼした甘いものに、いつのまにか群がるアリのように、ふとした一瞬のすきに現れるだれか。無垢な視線を持つ子どもは、その瞬間を見逃さないようです。
確かに、子どもや、この絵本にも登場する猫は、どこかに向かって、誰かに向かって、すっと手を伸ばしたり、じーっと見つめたりしていますよね。
この絵本を開くと、子どもの目をもう一度持ちたい、と思ってしまうのです。
そして、このママのように、もう一度子どもの目を持つことができるのだろう、と思うのです。

(スタッフ 武本)

書籍名:真夜中のちいさなようせい
出版社:ポプラ社
著者:シン・ソンミ/文・絵 清水知佐子/訳
出版年:2021年
定価:1,650円(税込)

17/06/2023

あめが ふったら ポンポロロン
あめが ふったら ピッチャンチャン
梅雨の季節になると、いつも『おじさんのかさ』の雨の音を口ずさみたくなります。
雨音が心地いいなぁ、アジサイも草の緑もきれいだなぁ、そう思う一方で、
湿気が嫌だなぁ、洗濯物が乾かないなぁ、と憂鬱になることもしばしば。
そんなとき、頼りになるのは絵本たち。
雨の日を楽しむヒントをこっそり教えてくれます。
今日は、雨の日に読みたくなる絵本の中から、1冊ご紹介します。

さあ、明日はピクニック! ちいさなねずみのセレスティーヌと、くまのおじさんアーネストは、準備に大忙し。
はちみつサンドとチーズサンドを作り、
ゆでたまごにバナナにリンゴ、大好きなハチミツは瓶ごと詰めて。
2人のわくわくする気持ちがたくさん詰まった、大きな大きな荷物ができあがります。

ところが、朝、目を覚ますとどしゃぶりの雨。
楽しみで楽しみで、小踊りするように自分の部屋から駆け下りてきたセレスティーヌは、
肩をがっくり落としてしまいます。
でも大丈夫。
「きょうは とても いいてんきだっていう つもりに なるのさ」
「それで ピクニックに でかけるのね、わたしたち」
レインコートを着て、長靴をはいて、
それから「いいお天気」の日には欠かせない日よけの帽子もちゃんと持って。

はじめはいいお天気の「つもり」になって、ピクニックを楽しんでいたセレスティーヌとアーネストですが、私には、2人がだんだんと雨そのものを楽しみはじめたように感じられます。
誰もいない広い原っぱをひとりじめして、テントの屋根や草木に当たるにぎやかな雨の音に耳を澄ます……。
その音を聞きながら飲む温かい紅茶は、きっと格別でしょうね。
あめのひのピクニック、またひとつ雨の楽しみ方が増えた気がします。

(スタッフ 谷口)

書籍名:あめのひのピクニック
出版社:BL出版
著者:ガブリエル・バンサン/作 もりひさし/訳 
出版年:1983年
定価: 1430円(税込)

03/06/2023

6月。春の名残がなくなってきて、夏の気配がだんだん近づいてくるころ。
暑くもなく寒くもなく、お出かけも気持ちがよい季節ですね。
街中で咲く紫陽花もきれいで、目を楽しませてくれます。
しっとりした美しさのあるこの月が、私はとても好きです。

この短い季節を思いっきり感じられる絵本をご紹介します。

よるのおさんぽにでかける、よっちゃんとおじいちゃん。
たくさんの紫陽花が咲きほこり、虫たちがページの中を行き交います。

歩いていくうちに、だんだんだんだん、そらの色が変わっていきます。

たどり着いたのは、田んぼ。そこで待っていたのは6月のよるだけに起きる、特別なプレゼントのような出来事でした。

初夏の草むらの、むんとしたにおいが本当にしてくるよう。
昔、こんなにおいをかいだことが確かにあったなあ。

たけがみたえさんの版画ならではの、迫力満点なのだけれど、どこかユーモラスな絵がこの本の醍醐味。ぜひ、読むだけではなく、全身で絵を感じて、味わってほしいです。

何より美しいのはページを彩る色たち。
最後の数ページは、夏が来る前の、よるになりかけのあの空の色の下に自分が立っているような気がするほど引き込まれていきます。

「だんだん だんだん」と親子で声をそろえて読みながら楽しんでほしい絵本です。

                             (スタッフ 金澤)

書籍名:だんだん だんだん
出版社:ひさかたチャイルド
著者:たけがみたえ/作 
出版年:2021年
定価:1,320円(税込)

21/05/2023

こんにちは。
賑やかな5月です。
季節外れの暑さの中、半袖で元気にやってくる子どもたちから、楽しいお話をたくさん聞かせてもらっています。
おしゃべりしながら給食食べてるよ、とか、〇〇組の先生がだいすき、とか。
久しぶりにおじいちゃん、おばあちゃんに会いに、電車に乗って出かけたよ、とか。

5月になると、きまって「あなたと わたしと 花たちと」という歌ばかり頭に流れます。
「五月の花が咲いたら 旅に出かけましょう」とはじまる、学生の頃から大好きな合唱曲です。
今回ご紹介する『せんろは つづくよ』の汽車に乗ったら、どんな景色が見えるでしょう。
「線路は空へと続きます 五月はあなたの瞳です」の部分をリフレインさせながら読むのに、ぴったりな1冊です。

ぱふぱふ ちゃぐちゃぐ と
2台の機関車が、西へ向かって出発しました。
1台は、最新式の機関車。もう1台は、古いちいさな機関車。
ぱふぱふ ちゃぐちゃぐ と、軽快なリズムで、西へ向かって走ります。

いっしょに丘をこえ、長いトンネルをぬけ、川の上を、鉄橋を、なかよく
ぱふちゃぐ ばふちゃぐ と進みます。
雨が降ろうが、雪が降ろうが、風が吹いても、ほこりが飛んでも、
ならんで走る2台の機関車。

ああ、2台がまっしぐらに向かう「西」って、どんなにいいところなんでしょう。
ああ、いっしょにリズムを刻んで走る相棒がいるって、どんなに心強いことでしょう。
絵本を駆け抜ける小気味よいリズムが心地よくて、おもわずからだを揺らしながら、
こころ弾ませながら、読んでしまいます。

北原白秋を師とし、美しい日本語の詩を数多く残した与田凖一訳の、まるで歌のような絵本。
「しゅっしゅ ぽっぽ」の“Puff Puff Chug Chug”は、この絵本の中では、やさしいひらがなの「ぱふぱふ ちゃぐちゃぐ」。
このわくわくするような音が、長い旅路のあいだ、ずっと響き続けます。
いっしょに、目的地に向かって必ずたどり着くんだ、そんな強い意志すらも感じます。
大げさかもしれませんが、山あり谷ありの人生になぞらえて読みながら、軽やかに、でも力強く背中を押してくれる音のように聞こえるのです。

(スタッフ 武本)

書籍名:せんろはつづくよ
出版社:岩波書店
著者:M.W.ブラウン/文 J.シャロー/絵 与田凖一/訳
出版年/1979年
定価/1,210円(税込)

05/05/2023

今年はお天気に恵まれた連休になりましたね。
旅行に行ったり、遠出をしたり、
みなさんいつもとは違う休日をお過ごしでしょうか。
あちらでも、こちらでも、
リュックをかついでわくわくおでかけする子どもたち。
そんな子どもたちの姿を見ていたら、
元気いっぱいの竜の子のお話を思い出しました。

小さな竜のりゅう坊は、出かけるときはいつだって、
大好きなリュックをかついでいく。
中には何が入っているんでしょう。
海で「たつまきごっこ」をするときは、
サンドイッチと水でっぽう。それとバスタオル。
びしょぬれになりますからね。
こんなものを持っているときもありますよ。
フライパンとホットケーキのもと。それとサングラス。
何しにどこへでかけるんでしょうね?

行く先々で、いろいろなお友だちとあそぶりゅう坊。
みんなに花火を見せてあげたり、
ちびちびの術を使って小さくなり、
虫たちとピクニックをしたり……。
でもりゅう坊にだって、寂しくて、
あとからあとから涙がこぼれる日もあるんです。
そんなときは、お月さまにだっこしてもらいます。
そしておおん、おおんって泣くんです。
すると寂しさのつぶがはらはらこぼれて、
星に生まれ変わります。

ともだちがいっぱいできた人も、
ちょうど探している最中だよっていう人も、
それからちょっと疲れちゃった人も、
りゅう坊といっしょにぶらりとおでかけしませんか。
リュックに大切なものをつめこんで。
元気がもらえるものをつめこんで。
誰かと分け合いたいものをつめこんで。

(スタッフ谷口)

書籍名:リュックのりゅう坊1 ともだちいっぱい 
出版社:文溪堂
著者:工藤直子/作 長新太/絵 
出版年:2005年
定価: 1650円(税込)

27/04/2023

新年度がはじまって少したちました。
保育園の赤ちゃんのお部屋からは、毎日鳴き声の大合唱が聞こえてきます。
まだまだ、子どもも大人も慣れない環境で頑張っている毎日ですね。

時には息抜きしてくださいね。今日ご紹介する絵本の主人公・フランシスのように、自分のやりたいことをやって、気持ちを外に出し切ってみるのもよいかもしれません。ヘンテコな歌もぜひ歌ってみてくださいね。

絵本には、たいてい子どもが出てきます。
これまでたくさんたくさん、絵本の中の子どもと出会ってきましたが……。この絵本の主人公、フランシスは、その中でも一番と言っていいくらい“子どもらしい”アナグマの女の子。
子ども100%!! 子どもとはこういう生き物です、と太鼓判を押したくなるような子なのです。

お父さん・お母さん・フランシス・それに最近生まれたばかりの妹のグローリアがいるフランシスの家族。今日の夜はとっても静か。
フランシスはながしの下に座って、自分で作った歌を歌っています。
フランシスが「ああしたい・こうしたい」とおしゃべりすると、お父さんお母さんが優しくこたえてくれます。
でも次の日、ちょっとしたことが自分の思い通りにいかなかったフランシス。
「ふうん。このごろ、うちは いろんなことが おもうように いかなくなったのね。きる ふくは ないし、ほしぶどうは ないし。あたし、いえでしようかしら?」
学校に行って帰ってきて、ばんごはんの後に家出をはじめたフランシスですが……?

フランシスのお父さんお母さんの最高の対応策は、ぜひ絵本で読んでくださいね。

この絵本で描かれているのは、フランシスたちの生活。ページを開くとその文章量に驚くかもしれませんが、ほとんどすべて家族の会話なのです。
そしてその会話のイキイキしていること! 本当に作者のお子さんがこういうことを言ったのかも?と想像してしまいます。

フランシスが、自分を出しきっているところがいいなあと思います。そして、それを頭ごなしに否定せずゆったり受け止める両親も、いいなあ。幸せな家族だなあと思います。
今でこそ、時代がずいぶん変わってきて、個性や多様性が尊重されるようになりました。
でも、20年30年前は”しつけ“とか“甘やかしちゃだめ”“いい子を育てなきゃ”という風潮が強かったのではないでしょうか。そんな時代に発行されたこの絵本が長く読み継がれていることはうれしいことです。
フランシスがこれからもずっと愛され続けますように。そして、フランシスみたいに、子どもが自分を思い切り出せる世の中であり続けますように。
(スタッフ 金澤)

書籍名;フランシスのいえで
出版社;好学社
著者;ラッセル・ホーバン/さく リリアン・ホーバン/え まつおかきょうこ/訳
出版年;1972年
定価;1,650円(税込)

03/04/2023

こんにちは。
桜が咲くのを待ちわびて、桜を1日でも長く愛でられるように願って、冷たい雨(といじわるな風)とにらめっこした日々が過ぎました。
新生活スタートの時季ですね。
桜から、ピカピカの初々しい方々の姿に目線を移し、目を細めている春です。
ちえの木の実の本棚も、春爛漫。道端に春の欠片を見つけるように、1冊1冊手に取った本は、いつでもちいさな発見を運んでくれます。

棚に入ったままの本を、ときどき取りだすと、ふわっと懐かしいにおいに包まれることはありませんか。
その本に出会った季節のにおいなのか、物語の世界から漂うにおいなのか。
『わたしのしゅうぜん横町』を開くと、見知らぬ異国の香りが、すうっと体に入り込んでくるような気がします。
新しい服に袖を通すとき、新しい道を歩きだす今、ちょっと立ち止まって味わってほしい物語が綴じられています。

旅の地図を片手に、どこかよそよそしさをまとう町を歩くわたしは、やっとのこと、大昔の水くみ場にたどり着きます。捜し歩いたその場所こそが、不思議な世界への玄関口。ふと、目の前に現れた男の子にひっぱられるようについてゆくと……。そこは、「しゅうぜん横町」の入り口でした。

「しゅうぜん横町」には、88店もの、修繕専門の店がひしめきあっています。そして、どの店にも、趣のある看板が掛けられ、個性豊かな職人店主の情熱あふれる仕事ぶりがうかがえます。
修繕が必要なものはなくとも、なにかに導かれ、心赴くままに店の扉をあけたくなるわたしは、職人たちの手仕事に触れ、モノに込められた物語の数々を味わうことになるのです。

最初に入った「たんす屋」のコーヒーの香り。「人形屋」の人形たちに染みついた涙のにおい。「キスタ屋」のキスタ(化粧箱)に閉じ込められた、まぼろしの香水の香り。
わたしが巡る1つひとつの店で、読み手の私にも、物語に隠された香りの記憶が刻まれる……なんて甘美な時間なのでしょう。現実の世界に連れ戻されたくないという錯覚に陥ってしまうのも、きっと、この魅惑的な香りのせいかもしれません。

古びたモノ。破れたモノ。壊れたモノ。止まったモノ。開かないモノ。私たちは「修繕」よりも「新調」や「交換」を選びがちかもしれません。しゅうぜん横町の職人たちは、どんなモノにも、もう一度命を吹き込んでくれます。元どおりにはならなくても、形のない思い出を丁寧に扱い、手を施してくれます。モノといっしょに生きてきた物語を、そっと語りながら。
いつの時代、どの場所にあったのか、そもそも実在するのかさえわからない横町。地図にない場所を確かに訪れた記憶と香りだけが、鮮明に心に残る物語です。

(スタッフ 武本)

書籍名:わたしのしゅうぜん横町
出版社:ゴブリン書房
著者:西川紀子/作 平澤朋子/絵
出版年:2009年
定価:1,540円(税込)

17/03/2023

ぽかぽか陽気が気持ちよくて、
きっと山のくまさんも目を覚ましているころでしょう。
長い冬眠から目覚めるって、
どんな感じなんでしょうね。

最初にくまさんのねどこに届くのは、
きっと雪がとける音や春風のにおい。
うーん、なんだか気持ちがいいぞ。
そろそろ外に出てみようかな。
そう思ったのでしょうか、
のっそりのっそり穴から出てきて
ぼんやりあたりを見回してみると、
小さな黄色い花がそこここに咲いています。
あぁ、きれいだなぁ、
くまさんはぼんやりした頭で考えはじめます。
なんていうんだっけ……あぁ、そう、たんぽぽだ。
でも……とくまさんは思います。

ええと ぼくは だれだっけ
だれだっけ

ぼんやり考えるくまさんの耳に、
さらさら水の流れる音がきこえてきます。
ちょっとのどがかわいたなぁ、
そう思ったのでしょうか、
ぼんやりしたまま川辺にやってきます。
するとどうでしょう、水の中からいいおかおが、
こちらを見ているではありませんか。
そこでようやく思い出します。

みずに うつった いいかお みて
そうだ ぼくは くまだった
よかったな

「ぼくはだれだっけ」
これはきっと、だれもが一度はぶつかる問い。
私がはじめてまど・みちおさんの詩「くまさん」を読んだのは、
ちょうどそんなことを考えている中学生のころでした。
真っ暗な穴の中で迷い奮闘しているとき、
この詩を読むと、
くまさんがのんびりと
「そのうち思い出すよ。春はくるもの」
とでも言ってくれているような気がします。
そのとき目にする自分は、
きっと「いいかお」をしていることでしょう。

(スタッフ谷口)

書籍名:くまさん
出版社:こぐま社
著者:まど・みちお/詩 ましま せつこ/絵
出版年:2017年
定価:990円(税込)

02/03/2023

少しだけお日さまの光に春の気配を感じるようになってきましたね。
でもまだまだ寒い日もたくさん。そんな日は、あったかいものを食べたいな。

本日ご紹介する本は、表紙からしてほかほか、湯気たっぷり。
読んだら心までほっこりあたたまること間違いなしですよ。

『きょうはふっくらにくまんのひ』というタイトルページの左に描かれているのは、笑顔の女性たちとひとりの女の子が窓から顔をのぞかせているマンション。
なんだか楽しそうなことが起こりそうな予感がします。

「リリ、いっしょに にくまん つくろうか?」
リリはナイナイ(おばあちゃん)からの誘いに大喜び。
おばあちゃんのにくまんは世界一好きな食べ物なんですって。

はりきってにくまんを作っていたリリですが、途中でナイナイが「たいへん、キャベツがないわ!」と叫びます。
6階のバブシアからキャベツをわけてもらってきて、と頼まれたリリ。
そこからリリは、6階のバブシア・2階のグランマ・4階のアブエラ・3階のノンナ・5階のテタ……各階のおばあちゃんの頼まれごとを聞いてまわることに!

大変な一日でしたが、最後はマンションのお庭におばあちゃん全員ができたてほやほやのお料理を持って集まってきました。さあ、パーティがはじまります。

リリがマンション中のおばあちゃんたちにかわいがられている様子も、おばあちゃんたちが自慢の料理を持ち寄っていっしょに食べるのも、今の日本の生活ではなかなか見られなくなってしまった“ご近所づきあい”だなあと、羨ましくなりました。

お話の最後に出てくる特別な「ふっくらちゃん」にもご注目!

それぞれのおばあちゃんのお料理や言葉などもお国柄の違いが描かれていて、読めば読むほどわくわくする絵本です。ぜひ巻末のレシピを見て、あなたもほかほか、ふっくらの肉まんを作ってみてくださいね。
                          
 (スタッフ 金澤)
書籍名;きょうはふっくらにくまんのひ
出版社;偕成社
著者;メリッサ・イワイ/作 横山和江/訳
出版年;2022年
定価;1,650円

17/02/2023

こんにちは。
2月22日は「にゃんにゃんにゃん」、
猫の日だそうですね。
ちえの木の実では、ねこ本コーナーを設けています。
いたずら好きなねこ、くいしんぼうなねこ、
おしゃれなねこ、はずかしがりやのねこ……。
個性豊かなねこたちに、会いに来てくださいね。
今日はその中から1冊、
とびきり愛くるしいねこちゃんをご紹介します。

ある日、黒ねこのプーがおひるねをしていると、
”いっしょうけんめいな”顔をした子ねこがやってきて、
自分の背中をなめました。

「ああ、よかった。ジャムじゃないよ。
ぼくの せなかだよ、
お日さまの あじがするもの」

子ねこは、自分がジャムパンになって食べられてしまうのではないかと心配していたのです。そういわれてみれば、白い体にあんず色の模様をもつ子ねこは、みみを落としてジャムをぬった、ふくふくの食パンにそっくり! でも、ねこがジャムパンになったなんて話、聞いたことありませんよね。ですからプーは、大きな目に涙をいっぱいためて心配する子ねこを、安心させようとします。大丈夫だよ、きみはねこだよって。
いっしょけんめいねこらしくあろうとする子ねこと、愛おしそうに子ねこをなぐさめるプー。この2ひきのやりとりがもう、ほんとうにかわいくて。
それから、登場する大人も魅力的なんです。だって、ジャムパンが逃げてねこに化けたと言いはじめたのは、子ねこではなく、子どもでもなく、人間のおばあさんなんですから。ジャムパン好きのおばあさんのことがもっと知りたくなったなら、『モモちゃんとプー』の「プーもてがみをかいて そして」を読んでみてください。プーや子ねこ、そしてモモちゃんとも、たくさんあそべますよ。

(スタッフ 谷口)

書籍名:ジャムねこさん
出版社:にっけん教育出版社
著者:松谷みよ子作 渡辺享子絵 
出版年:2005年
定価:1430円(税込)

09/02/2023

2月のおはなし会のお知らせです。
赤ちゃんの回はどちらもあと少しで満席ですので、お早めに!

04/02/2023

こんにちは。
立春を迎え、旧暦では1年のスタートとなりました。
まだまだ風の冷たい日が続きますが、暦の上では、もう春。
冬眠中の生き物が、目を覚ます準備をはじめているかもしれません。

土の中から顔をだす生き物や、雪解けを待ちわびているスノードロップを思い浮かべながら、ふと「生きること」について考えています。
そして、頭の中に流れてきたのが「てのひらを太陽に」。
子どものころは、歌詞にある「真っ赤にながれる ぼくの血潮(ちしお)~」という部分が特に好きで、力強く歌っていたのを思い出します。
生きること。正しく生きること。その意味を考えさせてくれたのは、いつも、詩人やなせたかしさんでした。
「てのひらを太陽に」「アンパンマンマーチ」などの作詞家でもある、やなせたかしさんの作品集『あれはだれの歌』を、ぜひ春を待つ日々のお供に。

4コマ漫画、詩、イラスト、画、そして童話「チリンの鈴」。
やなせたかしさんの声とメッセージがぎゅっとつまった、贅沢な構成の1冊です。
「えらくなっちゃいけない」にハッとし、「てのひらを太陽に」に幾度もうなずき、今、確かに生きているというじわじわとした感覚にしばらく包まれます。
この歌詞の中で出会った「ちしお」という言葉に、ほとばしる生命力を感じずにはいられません。

さらに、童話「チリンの鈴」に心が震えます。怖くて、悲しくて、痛くて、震えるんです。
絵本『チリンのすず』以上に、戦うことや復讐の虚しさ、孤独の寂しさが押し寄せてきて、いつまでもチリンの首の鈴の音が心に鳴り響くのです。

やなせたかしさんの、やさしい言葉のなかには、一本筋の通った強さがあります。
その源は、愛であり、希望であり、正義なのでしょう。愛、希望、正義……その意味は難しくて、辞書を引いても、書の中にもなかなか見つけだせません。でも、やなせたかしさんの言葉に触れると、わずかに近づくことができる気がするから不思議です。
正しいことの答えはたった1つ、目の前の飢えている人に、ひと欠片のパンを差し出すことだよ、と笑いながら話すやなせたかしさんの顔が浮かびます。

そんなことを考えながら、本を閉じると、ちいさなメッセージが。

 もし夢の中が幸福なら
 がまんしよう
 ねむっているときしあわせなら
 人生の1/3はしあわせなのだから

心がふっと軽くなりませんか?

(スタッフ 武本)

書籍名:あれはだれの歌
出版社:瑞雲舎
著者:やなせたかし
出版年:2005年
定価:1,650円(税込)

19/01/2023

1月も中旬をすぎ、お正月気分もすっかり抜けてきましたが……。

我が家の子どもたちはおもちが大好きすぎて、お正月が終わってからもしばらく「明日の朝ごはん、おもちが食べたい!」とリクエストしてきます。ときには夕飯をたっぷり食べた後「デザートにおもち!」と言ってくることもあります。

確かにおもちって、おいしいですよねえ。
日本人にとって、おもちというのは神聖な存在だったそうです。
お正月に歳神さまにお供えするために家族総出で年末におもちをついたら、大事に食べていくために、何か月も水につけて保存していたのですって。

どんな風にあのおもちを作るのか、ちょっとあの一家の様子をのぞいてみませんか。

1983年に最初の絵本が発売された、ねずみの家族を描いた14ひきシリーズ。
皆さんも一度は目にしている絵本なのではないでしょうか。お店では「あっ、小さなころこれ読んでた!」と嬉しそうに話す大人の方もいらっしゃいます。

今日は、14ひきの一家がおもちつきをする日。
朝早くから、おとうさんはまきわり。おじいさんはかまどに火をくべています。

こどもたちは10ひき兄弟。家族全員でおもちつきの仕事を分担します。
ふやかしておいたお米をせいろにいれて、かまどでふかして。
きねとうすを運んできて、いよいよおもちつきのはじまり!

ぺったん とったん ぺったん とったん
 
こねどりも上手にしながら、家族みんなでおもちをついていく様子は何度見ても心躍るもの。できあがったやわらかくてあったかいおもち、食べたいなあ!

兄弟は、上からいっくん、にっくん、さっちゃん……と数字の順番に名づけられています。
この10ひき、それぞれの性格が全然違うのです。各ページの文章は短くて、詳しく書いてあるわけではないけれど、絵の中に10匹それぞれの個性が描かれています。
小さな子は絵のすみずみまでよーく見ているので、それを見て自分の好きな“お気に入りねずみ”を見つけたりします。親になって読むと、それぞれの子の行動が「ああ、うちの子もやるなあ」と共感してしまうことばかり。とっても子どもらしい、愛しい子たちなのです。

絵の中に描かれているさまざまな“お客さま”もこのシリーズの魅力。ページをめくる手を止めて、1ページ1ページの絵を親子でじっくり眺めたくなる本は他になかなかありません。

ほのぼのとした世界ではありますが、実は自然の中での暮らしの厳しさも描かれているように思います。そこで紡がれる家族の営みこそが、作者のいわむらかずおさんが一番伝えたいことなのかなあと感じます。
ずっとずっと、読み継がれていってほしい絵本です。

                          (スタッフ 金澤)

書籍名;14ひきのもちつき
出版社;童心社
著者;いわむらかずお
出版年;2007年
定価;1,430円

08/01/2023

あけましておめでとうございます。
昨年は、暑い中、寒い中、たくさんの方が店頭に足を運んでくださいました。
ありがとうございます。
今年もたくさんの人と、絵本と、素敵な出会いがありますように。
どうぞよろしくお願いいたします。

今年はこんなことをやってみよう、あんなことに挑戦してみよう、そんな新しい気持ちで迎える1月。
この主人公もそのひとり。「気持ちを新たに」どころか、文字通り、全く新しい人生を始めます。

「おめでとうございます、抽選に当たりました!」
死んだはずの「ぼく」の魂は、突然天使にこう告げられます。下界で誰かの体を借りて生き、その間に前世で犯した過ちを思い出せば、正式にもう一度生まれ変わることができるというのです。そしてこの一連の修行を、天使業界では「ホームステイ」と呼ぶそうです。
では「ぼく」は誰の体を借りることになったかというと、自ら命を絶った小林真(まこと)。勉強は苦手で友だちゼロ、美術の時間だけを楽しみに生きていた、ちびでさえない中学3年生。
「ぼく」は、どうせ自分のものではないから、と真の貯金を惜しげもなく使ったり、クラスメイトに話しかけたり、内気な真らしくない行動をとってそのイメージを次々と壊していきます。すると徐々に、真が思っていた周囲の人のイメージも、実際とは少し違うことに気がつきはじめます。真のことをずっと見ていた同級生がいたり、薄汚いと思っていた両親の行動にも、真の知らない事情があったり……。
「ぼく」は思います。
 真。やっぱりおまえ、早まったよ。
 すべてが遅すぎるわけじゃない。
 おまえが早まりすぎたんだ……。

私たちは、知っている、分かっていると思っていても、本当は何も分かっていないのかもしれません。家族のことも、友だちのことも、それから自分のことも。人生ってこんなもんだよね、とため息をつく前に、少し視点を変えてみませんか。例えば、自分の人生を、ちょっと長めのホームステイだと考えてみる、とかね。

(スタッフ 谷口)

書籍名:カラフル
出版社:講談社
著者:森絵都
出版年:2011年
定価:1650円(税込)

26/12/2022

年明け、1月のおはなし会のお知らせです。
申し込み開始いたします!
新年最初のおはなし会、一緒に楽しい時間を過ごしましょう。

23/12/2022

いよいよ今週末はクリスマス!
うっかりプレゼントを用意し忘れてしまったあわてんぼうのサンタさん、
まだ間に合いますよ♪

年末は12月28日(水)まで、年明けは1月5日((木)から営業いたします。

17/12/2022

こんにちは。
クリスマスまで、あと1週間。そして、2022年が幕を閉じるまで、あと2週間。
待ちわびる喜びと、見送るような寂しさが同時にやってくる、師走の日々ですね。
今年はどんな1年でしたか? ちえの木の実では、去年よりもたくさんの親子に会うことができました。そして、子どもたちのふくふくとした笑顔につられて、こちらも頬がゆるんでばかり。だから、今年の一文字は「笑」にしたいと思います!

サンタクロースが登場する絵本のなかで、笑いと衝撃が一度に押し寄せた絵本があります。
『あんたがサンタ?』え?あんたって……。あんたがサンタ、あんたがサンタ……このラップのような響き、危険な香りがするでしょう? 今年読んだ絵本の中で、私を笑わせた第1位の絵本に輝きました。さあ、笑う準備をどうぞ。

『あんたがサンタ?』この絵本に、解説はいりません。
表紙のサンタ、ぐっすり眠っている子ども(おそらく、クリスマス・イブ。サンタが枕元にプレゼントを置いてくれると信じて「いい子に」眠っている)の顔にマジックでらくがき!
扉(中表紙)のサンタ、子どもを怖がらせる気まんまんの、変なおめんをつけています。
そして、「のりものよい」「ソリからおちる」「日にちをまちがえる」……と、サンタにあるまじき行動の数々。

そこで、ひとこと!「あんたがサンタ?」
どのサンタもヘンなのです。やることなすこと、おかしいのです。でもそれは、可笑しみ。愛嬌。じわじわと笑いがこみあげて、笑いが止まらなくなって、この人間味のある、ヘンなサンタの応援までしたくなって……。だから、またはじめから読んだり、好きなサンタの順位をつけてみたり。半ば中毒気味になりながら絵本を閉じると、ほらまたヘンなおもちゃの絵が!

じっくりと味わう絵本もいい。または、思い出すだけで、読む前から笑いだしてしまう絵本があってもいい。笑いが生まれる瞬間、または誰かと笑いを共有できる時間は、なによりの幸せですね。佐々木マキさんの絵本、と聞いただけで「ユーモア」という言葉が浮かび、からだが「さあ、かかってきなさい」と笑う準備をはじめるから不思議です。「あ~、おもしろい」「なんておもしろいんだろう、おしまい」と絵本を閉じる。説明や感想を求めなくても、からだに笑いがしみ込んで、喜びにあふれてしまう。そんな幸せをもたらしてくれる絵本のひとつです。

(スタッフ 武本)

書籍名:あんたがサンタ?
出版社:絵本館
著者:佐々木マキ/作
出版年:2012年
定価:1,320円(税込)

01/12/2022

こんにちは。
あっという間に12月ですね。
ちえの木の実では、たくさんのクリスマスの本といっしょに、
大きなクリスマスツリーを飾っています。
ぜひ見にいらしてくださいね。

年末に向けて慌ただしくなってくるこの時期、
ご紹介したいのはこちらの1冊です。

ちいさなちいさな本の中で、ちいさなちいさなひとたちが、
そろそろねむりにつこうとしています。
びっくりさせないように、そっと本を開いてみましょう。

ねむたいひとたちは、いつでもどこでも、ねむたいねむたい。

あくびをして、のびをして、にんまりして。
ココアを飲んでクッキーを食べたら、とうさんが寝息をたてはじめます。
かあさんは、とろんとした目の子どもたちに、ねむりうたを歌います。
それからみんなで、すーすーくーくー。

なんて幸せそうなんでしょう。
立っていてもねむってしまいそうな、とろんとした表情。
安心感に包まれて、どこでもねむってしまう、
とうさん、かあさんと子どもたち。
力が抜けすぎていて、思わず顔がほころんでしまいます。

慌ただしい日々をちょっと脇において、ねむたい人も、ねむれない人も、
まだまだねむりたくない人も、ほっとひと息つきませんか。

もしかしたらあなたの古いへやばきの中でも、ねむたいひとたちが、
寝返りをうっているかもしれません。

(スタッフ谷口)

書籍名:ねむたいひとたち
出版社:あすなろ書房
著者:M. B. ゴフスタイン/作・絵 谷川俊太郎/訳
出版年:2017年
定価:880円(税込)

20/11/2022

実りの秋。もう無花果や栗の季節は終わってしまったなあ。でも、柿にりんご、みかんとおいしい季節の便りがどんどん届いていますね。
おいしい新米も秋ならではのお楽しみ。
何より、あの黄金色の田んぼは本当に美しい日本の風景だと思います。
都会に住んでいるとなかなか見ることがかないませんが、この絵本を読んで思いをはせています。今年も万次郎さんの田んぼ、豊かに実ったかな。

おにぎりは、みんなの人気者。
お弁当のおにぎり。朝ごはんのおにぎり。誰の心にも、思い出のおにぎりがあるのではないでしょうか。
食べ進まなくなった子どものごはんも、おにぎりにすればぱくぱく食べちゃいます。
丸や三角、俵型とどの形もかわいいですよね。

この絵本の主人公・万次郎さんも、ことし田んぼでたくさんとれたお米で、とびきりうまい、大きなおにぎりを作りました。

でもそのおにぎりたち、のりをまかれるのを待っている間にムズムズと動き出し、ぴょんぴょんと外へ飛び出していってしまいます。

「おてんとさまあ、いま いきますけん、まっていてくだされえ」
とさけんだおにぎりたちが向かった先は……? 
ぜひこのおはなしを読んで確かめてみてくださいね。

この絵本をはじめて読んだときに不思議だったのは、1ページ目から、万次郎さんのことを自分も子どもも一気に好きになってしまったこと。
素朴でかわいらしさにあふれた北村人さんの絵と、作者の本田いづみさんの軽妙な語り口があいまって、万次郎さんの魅力的なキャラクターを作り出しているのでしょう。

「おてんとさまって、なに?」といっしょに読んでいた子どもに聞かれ、そういえばこんな素敵な言葉をちゃんと伝えられていなかったなあと気がつきました。
おてんとさまへの感謝にあふれた万次郎さんとおにぎりのお話。
私たちを生かしてくれている自然すべてに対して「ありがとう」の気持ちを大切にする日本人の心を、万次郎さんの背中から感じます。
                    (スタッフ 金澤)

書籍名:万次郎さんとおにぎり
出版社:福音館書店
著者:本田いづみ/ぶん 北村人/え
出版年:2018年
定価:990円(税込)

07/11/2022

土曜日の宮野聡子さんをゲストにお迎えしたあきのスペシャルおはなし会は大盛況でした!お越しいただいた皆さま、ありがとうございました。

さて、11月のおはなし会もお申込み受付が始まっております。
秋が深まってきて、冬が近づく頃。季節を感じられるおはなしを今月も楽しみましょう。

06/11/2022

こんにちは。
ちえの木の実はすっかり「秋」に衣替えしました。店内のあちらこちらにある、どんぐりやまつぼっくりを、子どもたちが嬉しそうに小さな手のひらに乗せています。木の実の絵本にはかかせないりす。どんぐりをほっぺたいっぱいに含ませたおかおが、なんともいえない表情でかわいらしいですね。

数ある「りす本」の中から、今日はとっておきの1冊をご紹介します。「がまくんとかえるくん」シリーズでおなじみ、アーノルド・ローベルの描く『りすのスージー』です。キュッと巻いたエプロン姿から、ちゃきちゃきとした世話好き母さんのような雰囲気が漂いますね。

高いかしの木のてっぺんに、ひとりでのんびり暮らすスージー。ほがらかに歌いながら、おりょうりもおそうじもこなす、働きもののりすです。
ところがある日、暴れんぼうのあかりすの1団がやってきて、かわいそうに、大切なスージーの家が奪われてしまいます。

とほうに暮れるスージーが、雨のなか見つけたのは、もみじの木にあるほこりかぶった人形の家。女王さまが住んでいそうなこの家に必要なのは、そう、かせいふです!
「あたしに もってこいの ところだわ!」と、目の前が明るくなったスージーは、人形の家での暮らしをはじめます。長いことねむっていたおもちゃの兵隊もいっしょに、ね。

特別なことを望まずに、ていねいな暮らしを営むスージーは、人生のお手本です。持ち前の明るさと、ポジティブ変換のうまさが、まわりの協力や運を味方にしているかのよう。住み慣れた家への恋しさを募らせるスージーに、そんな味方たちがひと肌脱ぐのです。

ふかふかのこけのじゅうたん。おわんいっぱいのどんぐり。あたたかく部屋を照らすほたるのランプ。ささやかなものに囲まれた、静かでおだやかな夜がいちばんいい。冷たい雨も風も経験して我が家に帰ったスージーの寝顔に、読み手の心もすっかりほぐされてしまいます。

(スタッフ 武本)

書籍名:りすのスージー
出版社:大日本図書
著者:ミリヤム・ヤング/文 アーノルド・ロベル/絵 光吉郁子/訳
出版年:2010年
定価:1,320円(税込)

30/10/2022

みなさん、魔女に会ったことはありますか?
「いやぁ、ないね~」とか、「魔女なんているわけないじゃない」なんて声が聞こえてくるかもしれません。
でもね、いるそうですよ、あちらこちらに。みんな気がつかないだけなんですって。なぜってほんものの魔女は、つるつるのはげ頭や、細長い曲がったかぎづめ、指のない足を隠し、ごく普通の人のふりをしているんですからね。そして魔女たちは、なにより子どもが大嫌い!
「ぼく」はこういった「ほんものの魔女」のことをおばあちゃんに教えてもらいます。タバコをもくもくふかしながら面白いお話をしてくれるおばあちゃんは、とりわけ魔女のことをよく知っているのです。

ある日「ぼく」は、魔女たちの大集会にうっかり潜り込んでしまいます。イギリス中から集まった、200人もの魔女たちに見つかっては大変! 息をひそめて隠れていると、魔女たちは、国中の子どもたちをネズミに変えるという恐ろしい計画を話しはじめます。この計画を知っているのは「ぼく」とおばあちゃんだけ。2人は魔女たちを止めることができるのでしょうか?

ハラハラドキドキ、恐ろしくも滑稽な魔女たちの姿にたくさん笑ってしまいます。そして愛情あふれる「ぼく」とおばあちゃんのやりとりに、ほっとひといき。「ぼく」は大好きなおばあちゃんにこんなことを言います。
「自分がだれだとか、どのように見えるかなんて、たいしたことじゃないもの」
(たとえネズミになったとしても、ね)

大切な人がたとえ本好きではなくても、「面白いよ」と教えてあげたくなる、そんなお話です。本が好きになる魔法、かけられてみませんか。

書籍名:魔女がいっぱい
出版社:評論社
著者:ロアルド・ダール/作 クェンティン・ブレイク/絵 清水達也、鶴見敏/訳
出版年:2006年
定価:1,430円(税込)
(スタッフ 谷口)

29/10/2022

11月5日(土)には、秋のスペシャルおはなし会が開催されます。
絵本作家の宮野聡子さんをゲストにお迎えします!!
お申込み受付中です♪

29/10/2022

明日は10月のおはなし会です。
午前中の赤ちゃんの会はすでに満席となってしまいましたが、午後の3歳くらいからの会はまだ空きがあります!

14:00〜はハロウィンのおはなし🎃よかったら仮装してきてくださいね♪

03/10/2022

まだまだ日中は暑いですが、少しずつ秋めいてきましたね。
今日は、今年初めて金木犀のにおいを街中で感じて嬉しくなりました。

秋と言えば、たかーい空に、吹き抜ける気持ちいい風。
外で風にあたるのも気持ちがいいけれど、この絵本を読んで、大きな風に吹かれてみるのもおすすめですよ。

夜、寝る前に窓の外を眺めている小さな男の子。
外はすごい風が吹いているようです。
時計はもうすぐ21時。おかあさんに「もう ベットに はいる じかん」と言われて、ベットに入ります。

でも、風はどんどん強くなって……。
男の子も、おもちゃたちも、時計もみな、大きな風にのって夜の空へ飛び出していきます。

びゅうっ ひゅーひゅるるー ざわざわざわ びゅわあっ
いろいろな風の音を声に出して読んでいると、なんだか自分の心も浮き立つよう。

阿部結さんの絵がこの本の一番の魅力です。かわいらしいのだけど、それだけじゃない、深みのある世界感。
ページをめくるほどに絵の力にひきこまれて、自分も夜の空に浮かんでいるような気持ちになってきます。

親子で読む時は、空の冒険についてきたおもちゃたちを一つ一つ探してみたり、かくれんぼのシーンで「いーち、にー、さーん」といっしょに数をかぞえるのも楽しいひと時。

さて、冒険から戻った男の子は、最後はおかあさんの腕に抱かれて眠りにつきます。

夜寝る前の、おやすみなさいの絵本としてもおすすめですよ。今日もよい夢が見られますように!                            
  (スタッフ 金澤)

書籍名:おおきなかぜのよる
出版社:ポプラ社
著者:阿部結
出版年:2021年
定価:1,760円(税込)

01/09/2022

こんにちは。
夏休みも終わり、秋の風が感じられるようになりましたね。ちえの木の実では、海や人魚、スイカのおはなしに名残を惜しみつつも別れを告げ、秋を迎える準備をはじめました。
まずはお月さまのおはなしから。
今年は9月10日が中秋の名月です。澄んだ空に浮かぶまんまるお月さまを待つ、そんなときにぴったりの絵本をご紹介します。

「お月さん、あんた できたての ほやほやの チーズで できてるんでしょ。」

しんと静かなある秋の夜、眠れないほどおなかを空かせたちいさいねずみは、お月さんにちょっとかじらせてとお願いします。でもお月さんはなんにも言いません。ただ「ちんがりわらっている」だけ。

屋根にのぼっても、木にのぼっても、お月さんはあっというまにもっと高いところへ行ってしまいます。お月さんが降りてくるお手伝いをしようとしても、長いはしごは重くて動かせません。冷たい雨の日にはずぶぬれになってお月さんを探し、ちいさいねずみは風邪をひいてしまいます。

一生懸命お月さんを追いかけるねずみのことを、お月さんは非難したり冷たくあしらったりはしませんが、励ましてあげることも、手助けしてあげることもありません。ただただそこにあって、「ちんがりわらっている」だけ。でもねずみはお月さんを追いかけているうちに、思いがけず幸せなくらしを見つけます。

決断を下すのも、何か行動をおこすのも自分。そのときもしかしたらひとりぼっちかもしれない。でも大丈夫、探しているものはきっと見つかるよ。最初に思っていたかたちとはちがうかもしれないけれどね。
お月さんはそう言って、ほほ笑んでくれているのかもしれません。

(スタッフ谷口)

書籍名:ちいさいねずみ
出版社:偕成社
著者:さとうわきこ 作・絵
出版年:1980年
定価:1,320円(税込)

01/09/2022

9月が始まりました♪
9月のおはなし会はこちらの日程で開催いたします。
9月5日(月)よりお申込み受付開始です。お待ちしております!

18/08/2022

8月26日(金)には、小学生以上限定 「こわ~いおはなし会」を開催いたします。
スペシャルゲストも来るかもしれません!!
お申込み受付中です♪

18/08/2022

こちらでのお知らせが遅れてしまいましたが、今度の土曜日に8月のおはなし会を開催いたします。

あかちゃんの部は満席となってしまいましたが、午後の3歳からの回はまだ空き席があります。
ぜひお気軽にいらしてくださいね。ご予約お待ちしております。

18/08/2022

学校の夏休みも後半戦に入ってきました。
小さな頃の夏の思い出と言えば、毎年親に連れていってもらっていた海水浴。
楽しかったなあ。
皆さんは今年の夏、海に行きましたか?

海、と言われて自分が思い描く海は、海水浴場の浅瀬と砂浜。
でも、海にはそれだけではない色々な顔がある。
海の新たな一面を教えてくれたのが、今日ご紹介するこの本です。

世界のはてのちっちゃな島にぽつんと立つ灯台。
そこに、あたらしい灯台守がやってきます。
と、ここでわく疑問。「とうだいもり、ってなんだろう?」

そう、この物語の舞台は、少し昔の、人が灯台をまもっていた時代。
灯台守は、毎日ゼンマイをまいて、ランプをともし、夜の海に光をおくりつづけます。

こんな海の果てでひとりっきりで暮らす灯台守の生活は孤独そう。
でもやがて奥さんも来て、子どもも生まれて……。
毎日表情を変える海と共に、ひとりの灯台守の人生がここで紡がれていきます。

昔、船で航海を続けている人々にとっては、灯台のあかりは本当に支えとなるものだったのだろうなあ。
物語の中でくりかえされる「おーい!……おーい!……おーい!おーい、こちら灯台!」
という言葉と共に、そんなことに想いをはせます。

ソフィー・ブラッコールの手によって描かれたこの世界は、海も灯台も人も、本当に美しく、温かく、何度読み返してもうっとりと見入ってしまいます。

この“どこでもない場所”にある灯台に、いつか行ってみたいなあ。

書籍名:おーい、こちら灯台
出版社:評論社
著者:ソフィー・ブラッコール/さく 山口文生/やく
出版年:2019年
定価:1,760円(税込)

06/08/2022

こんにちは。
夏まっさかりの8月。夏休みまっただ中の子どもたち。風に乗って、花火やお祭りの音が聞こえてきますね。
こんなに雷の音って大きかったっけ。こんなに稲妻の光って強かったっけ。こんなに夏って暑かったっけ……。
ひときわ驚きの多い夏、どんなふうに子どもたちは過ごしているのでしょうか。

私が子どもの頃は、夏休みが長くて長くてしかたありませんでした。毎日同じ友だちに会えるわけでもなく、8月の1週目くらいになると、ちょっぴりたいくつに思えてきたり。
ここのところ、子どもたちの口から「たいくつ」という言葉を聞かなくなったかもしれません。本やゲームがすぐ近くにあって、いつも誰かと繋がっていて。「たいくつ」から生まれる思いがけない豊かな時間や冒険の入口を、『みどりの船』は思い出させてくれます。

 「夏休み、二週間もいなかのおばさんの家ですごすうちに、
 ぼくたちは、すっかりたいくつしはじめていた」

そこで、「禁止」されていた庭に「もぐりこんだ」のがはじまり。
庭というよりは森、大きなジャングル。見つけてしまったのは、大きな船。
まるで本物の船のようなその場所に、ふたりの子どもたちは足を踏み入れたのでした。

ふたりの探検隊は、やがて水夫となり、この船で世界中を航海します。すさまじい嵐にも遭遇します。実際、船(のようなもの)はそこにあるだけなのに、想像力と行動力で、たいくつだったひと夏が、忘れられない思い出の夏になるのです。

もちろん、このお話にスパイスを加えているのは、子どもに寄り添う大人の存在かもしれません。船長をこよなく愛すトリディーガさん、そして水夫長(おそらく庭師)のおじさん。子どもの世界と大人の世界の垣根を壊して、子どもたち自身が誇らしいと感じるような仕事を与えた大人たち。子どもたちの目線を大切にし、子どもたちの目に映る世界を肯定し、限りなく広げてくれた大人たち。自然体で、とにかくかっこいい。

毎夏、訪れたくなる場所があるって、いいですね。毎夏、思い出す誰かがいるって、いいですよね。
自分の胸だけに、そっとしまっておきたい思い出があるのも。その船の姿がなくなった今でも、船と共に過ごした記憶が心の中に生き続けていることも。
この絵本を読むと、大人の私は、子ども時代に探検した公園裏の景色がサーッと浮かびます。子どもたちはどうでしょう。この絵本を読むと、ちょっと「たいくつ」な時間を過ごして、その先に見える風景に出会ってみたくなるでしょうか。

(スタッフ 武本)

書籍名:みどりの船
出版社:あかね書房
著者:クエンティン・ブレイク/作 千葉茂樹/訳
出版年:1998年
定価:1,760円(税込)

18/07/2022

こんにちは。そろそろ夏休みですね。
溶けそうなほど暑いかと思えばひんやり大雨も降ってきて、体調など崩されていませんか?
ちえの木の実では夏休み限定のワークショップやおはなし会も行いますので、涼みにいらしてくださいね。
今日おすすめする絵本は、そんな暑い夏にぴったりの1冊です。

海の上で嵐に巻き込まれた男の人と女の子、そして犬1匹。やっとの思いで泳ぎ着いた小さな島は、大きな大きなカメのこうらでした。
心優しいカメは、2人と1匹を背中にのせて世界中の海を旅します。光るクラゲたちといっしょに泳ぎ、鳥たちには羽を休める場を与え、時には巨大な魚から「しま」の住人を守ります。

この絵本には、文字がありません。
ページをめくるたび、見開きいっぱいに描かれた美しい海と空、色とりどりの生き物たちが目に飛び込んできます。

男の人と女の子は、しまの上でどんなくらしをしているのでしょう?
魚たちは、ふしぎな住人をのせたカメのうわさ話でもしているのでしょうか?
カメはどこへ向かっているのでしょう?
どうぞ好きなだけ想像してください。

私は暑くて暑くてぐったりしてしまうとき、ぼぉーっと眺めて涼んでいます。
黄色やオレンジ色の小さな魚たちと泳いだり、クラゲといっしょにぷかぷか浮いてみたり、ちょっとまぬけな顔をした大きなピンクの鳥に乗って空を飛んでみたり……。

この夏は、カメさんといっしょに世界中の海を旅してみませんか?
カラフルな海の世界で、思いきりあそびましょう。

(スタッフ 谷口)
                          
書籍名:しま
出版社:福音館書店
著者:マルク・ヤンセン/さく
出版年:2022年
定価:1,540円(税込)

04/07/2022

梅雨があけて、一気に猛暑が来てしまいましたね。そして今週は天候が不安定ですが、暑すぎて公園にも行けない時は、ちえの木の実に涼みにいらしてくださいね。

ゆっくりゆっくり滞在していただくの、大歓迎です♪
ちえの木の実の店内は、木がたくさん使われているので、さわやかで涼しげな空気が流れているような気がします。

夏休みに向けて、新たな本との出会いができたらいいですね。
今日も、ちえの木の実より、1冊の絵本をご紹介させていただきます。これまであまりなかった、新しさを感じる絵本です。

「ここは、おかあさんの ひざのうえです」
最初のページに描かれるのは、おかあさんのひざの上にぴったりとくっついて抱かれている男の子。

そこからページをめくるごとに、2人をとりまく視点が変わっていきます。
窓の外にはカラフルな街並み。楽しそうな人たち。
視点はどんどん俯瞰的な広がりを見せ、果ては宇宙まで!

“ぼく”とおかあさんは、ほほえみを浮かべて、ずっと2人だけの世界にいるみたい。
外を見てはいるけれど、外で雨がふっても、何があっても“ぼく”はおかあさんのひざの上で守られています。

小さな子の目は、この絵本の中のにぎやかな風景や高く飛んでいく風船を追いかけているのかもしれませんが、きっと母親の胸に抱かれているような、あたたかい安心感に包まれているのでしょう。

初めてこの絵本を読んだとき、胸の奥で何かがじわじわっとあふれてくるような感覚がありました。それは、そのときいっしょに絵本を読んでいた、自分の娘たちへの愛情だったのかもしれません。
胎内にいたときとは違うけれど、まだまだ自分と一体感のある乳幼児の時期。
いずれこのひざの上を離れて、飛び立っていくけれど。
その時のために、たくさんたくさん、今はぎゅーっとくっついておこう。

                     (スタッフ金澤)

書籍名:ここは
出版社:河出書房新社
著者:最果タヒ/文 及川賢治/絵
出版年:2020年
定価:1,430円(税込)

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6月14日(金)に行われた「おうちでサイエンス『アイスクリームデザイナーになろう』」の、アイスを固める行程です!参加者同士でペアを組み、袋を回して固めました。振り方やタイミング、溶けてきた氷の配置など、固めるための工夫はたくさんできそう!と...
うたほんや~子どもの日~紙芝居⑤
うたほんや~子どもの日~紙芝居④
うたほんや~子どもの日~紙芝居③
うたほんや~子どもの日~紙芝居②
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