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【時事解説】産学協働による新たなインターンシップの周知・実践 その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
経団連と国公私立大学の代表者により構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が2022年4月に公表した2021年度報告書では、インターンシップを含む学生のキャリア形成支援における産学協働の取組みの周知・実践に向けて、企業・学生・大学等にメッセージを提示しています。
以下でその内容をみていくと、まず企業に対しては、産学協議会が学生のキャリア形成支援活動について区分した4つの類型(タイプ1:オープン・カンパニー、タイプ2:キャリア教育、タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ、タイプ4:高度専門型インターンシップ)に照らして、自社プログラムの実施形態等の再設計と推進を期待しています。また、各企業には、就業体験をきちんと盛り込んだインターンシッププログラムの拡大・普及への協力を期待しています。
次に学生に対しては、就職活動を始める前の段階で、4つの類型のうちタイプ1「オープン・カンパニー」、タイプ2「キャリア教育」の積極的活用を期待しています。また、企業が実施するプログラムの参加にあたっては、各学生にとって当該プログラムに参加する意義を確認することを求めています。さらに、インターンシップの就業体験のほか、職場での実務体験を伴うあらゆる機会の積極的活用に加え、インターンシップ参加経験は採用選考に必須ではないことへの理解を求めています。
大学に対しては、同報告書における産学合意事項の正しい理解と周知・実践への協力及び学生が学業と両立した形で長期インターシップに参加しやすい学内制度・仕組みの開発・実施を期待しています。(つづく)
【時事解説】産学協働による新たなインターンシップの周知・実践 その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
では、産学協働による新たなインターンシップの実践に向けて産学の間で具体的にどのような取組みが行われているのでしょうか。そこで、企業と大学による新たなインターンシップ構築に向けた取組みとして、島根県においてホームセンターを運営する株式会社ジュンテンドーと島根県立大学との間で構築された長期有償型インターンシップの取組みについてみていきましょう。
島根県立大学では中期経営計画に基づき地元企業や行政機関と協力しつつ、長期・事業創造型インターンシップを推進し、地域の担い手となる人材育成に取組んでいます。その一環として、島根県益田市に本社を置くホームセンターである株式会社ジュンテンドーとの間で長期有償型のインターンシップを2019年度より実施しています。
このインターンシップでは、「学生が地域貢献をテーマとし、地域になくてはならないものを探究する」ことをテーマとして、参加学生が実際の店舗にて売場づくりに取組んでいます。このインターンシップは3つのステップに分かれています。ステップ1では学生が店舗作業実習(商品出し、売り場メンテナンス、接客など)をしつつ、商圏調査を行います。ステップ2では、売り場づくりに関する社員研修に参加しつつ、売り場づくりのテーマや計画を策定し、実際に売場づくりを行います。ステップ3では、参加学生が自身の作った売場の販売状況を検証し、成果を社内会議で発表します。これらの内容は有償の「仕事」として参加学生が責任をもって担当し、活動期間も4~5か月程度と長期に亘ります。
このように産学協働により、就業体験を盛り込んだ課題解決型の長期インターンシップが構築されているのです。(了)
【時事解説】産学協働による新たなインターンシップの周知・実践 その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
経団連と国公私立大学の代表者により構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が2022年4月に公表した2021年度報告書では、インターンシップを含む学生のキャリア形成支援における産学協働の取組みの周知・実践に向けて、企業・学生・大学等にメッセージを提示しています。
以下でその内容をみていくと、まず企業に対しては、産学協議会が学生のキャリア形成支援活動について区分した4つの類型(タイプ1:オープン・カンパニー、タイプ2:キャリア教育、タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ、タイプ4:高度専門型インターンシップ)に照らして、自社プログラムの実施形態等の再設計と推進を期待しています。また、各企業には、就業体験をきちんと盛り込んだインターンシッププログラムの拡大・普及への協力を期待しています。
次に学生に対しては、就職活動を始める前の段階で、4つの類型のうちタイプ1「オープン・カンパニー」、タイプ2「キャリア教育」の積極的活用を期待しています。また、企業が実施するプログラムの参加にあたっては、各学生にとって当該プログラムに参加する意義を確認することを求めています。さらに、インターンシップの就業体験のほか、職場での実務体験を伴うあらゆる機会の積極的活用に加え、インターンシップ参加経験は採用選考に必須ではないことへの理解を求めています。
大学に対しては、同報告書における産学合意事項の正しい理解と周知・実践への協力及び学生が学業と両立した形で長期インターシップに参加しやすい学内制度・仕組みの開発・実施を期待しています。(つづく)
【時事解説】乖離が拡がる会計と税務 その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
さらに反論は次のように続きます。
「将来予測が主観に基づき、客観性が保てないということは、その通りだが、企業によって置かれた環境や保持する能力が違うことは当然であり、そうした差異が財務諸表に表現されるのも、これまた当然だ。そこで重要なことは、財務諸表作成の基礎となった将来予測をどのように行ったのかという説明が説得力を持つことだ。投資家は財務諸表に表現された数値結果だけではなく、その説明も含めて投資判断をするのだから、投資家に納得性のある説明をできるかが問われる。」
将来キャッシュフローの現在価値を重視するのであれば、会計理論的にはその通りなのでしょうが、そこで気になるのは税務です。税務で経済の将来予測に基づいて引当金を設定しても、認められません。なぜなら、税務では担税力のある利益と公平性が重視されるからです。
税務では実際にキャッシュで納税しなければなりませんから、キャッシュの裏付けのある利益が求められます。また、すべての納税者に納得して税金を納付してもらうには、公平性も欠かせません。担税力のある利益と公平性を担保するためには、将来予測ではなく、過去の実績をベースに税務計算をすることが当然の帰結になります。
担税力のある利益と公平性は税務の生命線ですから、税務としては過去の実績重視は譲れません。一方、会計は投資家目線をより強め、将来予測にウェートを傾ける方向にあります。とすると、税務と会計の乖離が益々広がっていくのは避けられない情勢です。
財務諸表利用者は会計と税務の目的の違いから発生する差異を十分に理解して、財務諸表を活用しなければなりません。(了)
【時事解説】乖離が拡がる会計と税務 その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
今、金融界では、将来予測に基づいて、債務者の返済能力を見積もり、予防的に貸倒引当金を計上する「フォワードルッキング引当金」を採用する銀行が増えてきています。銀行には貸倒引当金の対象資産である貸出金が膨大にありますから、貸倒引当金の設定の仕方次第で損益が大きく左右されることになります。
これまでの貸倒引当金の設定は、その客観性の高さから、債務者の決算状況などの過去の実績を中心に判断してきました。過去実績もある程度考慮するのでしょうが、それを、将来予測を軸に据えるというのは、かなり思い切った変革です。フォワードルッキング引当金は会計の基本思想を体現するものといえますが、会計がこの方向性を鮮明にすることで、会計と税務の乖離が拡がることに注意する必要があります。こうした将来予測に大きく依存する会計処理は、容易に想像されるような以下のような批判を呼び起こします。
まず、将来予測は「当たるも八卦、当たらぬも八卦」の世界であり、その正確性を誰も担保できません。また、予測を行うのは人間ですから、主観的判断に基づくことになり、会社によって、そして人によって異なった結果が導き出されます。そんな主観に左右される不確定な未来の予測に基づいて財務諸表を作成して、信頼性のある財務諸表といえるのだろうか、というものです。
こうした批判に対し、現代の企業会計は次のように反論します。
「上場企業の財務諸表は投資家の投資判断に資するものでなければならない。株価がその会社の将来キャッシュフローの現在価値を反映するものだとするなら、投資家は投資しようとする会社の将来キャッシュフローを予測する必要がある。したがって、財務諸表もその予測に役立つものでなくてはならず、財務諸表に将来予測を取り込むことは、投資家の投資判断に有用なはずだ。」(つづく)
【時事解説】産学協働によるキャリア形成支援 その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
では、産学協働によるキャリア形成支援は具体的にどのような特徴を有しているのでしょうか。そこで、「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」による2020年度の報告書にて提示された4つのタイプについて振り返りつつ、2021年度の報告書で更に具体化された点を中心にみていきましょう。
産学協議会は、学生のキャリア形成支援活動を、個社・業界の情報提供・PRを目的とした【タイプ1】「オープン・カンパニー」、教育を目的とした【タイプ2】「キャリア教育」、しっかりとした就業体験を行うことを通じて学生にとっては自らの能力を見極めること、企業にとっては採用選考を視野に入れた評価材料を取得することを目的とした【タイプ3】「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」、しっかりとした就業体験を行うことを通じて、学生にとっては自らの専門性に関する実践力の向上を図ること、企業にとっては採用にあたっての評価材料を取得することを目的とした【タイプ4】「高度専門型インターンシップ」の4つのタイプに類型化しています。
各タイプの活動を通じて取得した学生情報を採用活動に活用することについては、タイプ1・2については活用不可で、タイプ3・4については、採用活動開始以降に限り活用可であるとしています。
上記のうちタイプ3の中身についてみると、学生の参加期間(所要日数)について、汎用的能力活用型では短期(5日間以上)、専門活用型では長期(2週間以上)とすることで就業体験は必ず行い、学生の参加期間の半分を超える日数を職場で就業体験とすることなどの基準が定められています。
上記のようなタイプ分けを念頭に産学協働によるキャリア形成支援が推進されるのです。(了)
【時事解説】産学協働によるキャリア形成支援 その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
経団連と国公私立大学の代表者により構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が2022年4月に公表した2021年度報告書では、インターンシップをはじめとした学生のキャリア形成支援における産学協働の取り組みに関する具体的検討を行っており、検討の視点として、以下の2点を指摘しています。
1点目は、自律的なキャリア形成とマッチングの重要性です。企業は多様な人材を求める観点から、採用・雇用の多様化・複線化を進め専門人材の採用や育成を重視する傾向にあることから、学生と仕事・職場のマッチングの重要性がより一層高まっています。
当面の課題としては、いかに就業体験を伴う質の高いインターンシップを実施していくか、インターンシップを核として、学生のキャリア形成を産学協働でいかに支援していくかという点があげられ、企業がより実務をベースとした質の高いインターンシップを実施するためには、学生を実際に受け入れる職場の理解・協力が不可欠であるとしています。
2点目は、学業とキャリア形成支援との両立です。学部生であれば3年が終わるまで、修士課程学生であれば1年が終わるまでは、学業や研究活動に専念することが重要です。その一方で、社会人になってからOJTを通じて能力等を鍛えても、グローバル・ビジネスで活躍する諸外国に太刀打ちできないとの危機感が産学で共有されています。こうした中、同報告書ではキャリア形成支援を学業との両立の観点を考慮しながら取り組むことの重要性を指摘しています。
以上のような視点を踏まえて、どのようにして学生の主体的なキャリア形成を支援できるかが問われているのです。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
【時事解説】企業実態と乖離するようにみえる株価 その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
現在はアベノミクス以来、未曽有の量的金融緩和が続き、巷にマネーがあふれている状況です。マネーは貸出に回り、経済を活性化させることが金融緩和の本来の目的ですが、それ以上のマネー量が供給され、株式市場に資金が向かいやすい状況です。それに加えて、日銀やGPIF(年金積立金管理運用特別法人)の買いもありますから、現在は金融相場の状況にあり、その結果、企業業績との違和感が生じる株価が形成されているのではないかと私は考えています。
しかし、金融相場は永遠に続くわけにはいきません。どこかで企業業績に見合った株価になるはずです。実態経済と乖離した株価はバブルといわれます。実体経済と乖離していても、バブルではない場合もあります。それは確かに現在の企業業績は悪いのですが、将来の業績回復を見込んでいるから、高い株価が維持できているのだという見方もできるからです。企業がコロナ禍を乗り越えて、業績を回復できれば、株価はそのまま維持できるでしょうが、コロナ禍を克服できなければ、株価の調整がどこかで起こると考えられます。
株価形成には多様な見方があり、それぞれの見解があって当然ですから、どれが正解ということはありません。ただ、業績相場か金融相場かということは株価を見る上で、常に必要な視点だと思います。(了)
【時事解説】企業実態と乖離するようにみえる株価 その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
株価は上場企業の業績に直接連動するように思いますが、必ずしもそうとは言い切れません。今回は株価と企業実態との間に往々にして生じる違和感について考えてみたいと思います。
株価がどのように決まるかには諸説ありますが、代表的なものとして以下の二つが挙げられます。
一つは、株価は株式を発行している企業の業績により決まるというものです。業績といっても株価を決めるのは過去ではなく、将来の業績です。この理論では、株価は将来キャッシュフローの現在価値を反映すると考えます。したがって、その企業の将来キャッシュフローを予想することが必要になります。将来キャッシュフローの予想のためには、企業の現在の実力を正しく把握しなければなりませんから、財務諸表等の企業情報や業界動向などを分析する必要が出てくるわけです。こうした分析をファンダメンタルズ分析といい、こうした形で形成される相場は業績相場といわれます。業績相場では企業業績が良くなれば株価は上がり、悪くなれば下がることになります。だから、株価は「企業実態(経済実態)を映す鏡」だといわれるのです。もし、本当に株価が常に企業実態を正しく反映しているとすれば、冒頭述べたような株価と企業実態との間の違和感は生じないはずです。
ところが、株価形成には金融相場というもう一つの考え方があります。株価は何だかんだ言っても所詮株式の値段です。とすれば、他の商品と同様に、株価も需給で決まると考えます。株式を買う人が多ければ株価は上がるし、売る人が多ければ下がります。企業業績が多少悪化しても株式市場全体に流入する資金が減らなければ、株価は維持できます。金融相場ではミクロの個別企業の実績より、マクロの金融市場の動向の方が株価の決定要因として大きいと考えます。(つづく)
【時事解説】改正宅建業法で不動産業界はDX化が進むか その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
5月に改正宅建業法(宅地建物取引業法施行規則)が施行され、不動産取引の電子化が進みます。従来、重要事項の説明は対面で行うことが義務付けられていましたが、2021年には、オンラインで行うことが認められました。今回の改正では、さらに重要事項説明書の電子化も可能になります。ほか、契約書など、不動産取引に関する電子契約書が全面解禁されます。
DX化が進み、契約書などの書類が電子化されると、これまで顧客は不動産会社などに出向き複数の書類に署名や捺印をしなければならなかったのですが、この手間が軽減されます。
ここでポイントとなるのが電子印鑑です。現在、対面で実際の書類に署名捺印、本人確認を行っていますが、改ざんされることなく本人の意思でサインを行う必要が出てきます。不動産会社の中には、IT企業と業務提携し電子署名の機能を活用するところが増えています。たとえば、マイナンバーを利用して実印相当の本人確認ができる機能や、電子署名ができる機能がすでに開発されています。
電子化は顧客の手間だけでなく、不動産会社にも契約業務の効率化や書類保管業務の削減というメリットにつながります。また、書類の郵送や出張にかかる費用の抑制も可能になります。
不動産の関連書類の電子化の効果は大きいと考えられています。というのも、分譲マンションや戸建ての場合、契約書以外にも様々な書類が発生します。ある大手不動産会社の場合、契約から入居までの顧客に渡す関係書類は約1,000枚にものぼります。書類の電子化により、年360万枚の紙を削減できる見込みといいます。加えて、売買契約書の印紙代については顧客の負担を含むと年に1億円以上のコスト削減につながります。さらに、書類情報のシステム入力や照合作業が減ることで、契約業務時間も年3万時間短くなる見通しだといいます。(了)
【時事解説】改正宅建業法で不動産業界はDX化が進むか その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
5月に改正宅建業法(宅地建物取引業法施行規則)が施行され、不動産取引の電子化が進むのではないかと期待されています。コロナ禍以降、多くの企業でDX化が進み、印鑑の捺印が不要になるケースが増えました。
ただ、不動産については、たとえばアパートを賃貸で借りるならば、顧客はアパートを内見し、不動産会社の事務所で契約書に署名捺印してはじめて住むことができます。さまざまな業種の中でも、不動産業界はDX化が遅れていると言われてきました。
遅れの理由は重要事項説明書がひとつとして挙げられます。重要事項説明書とは法で定められた事項について、これらを記載した書面を交付して説明をするというものです。そもそも、宅地建物の取引は権利関係などが複雑であり、専門知識を要するものが多数あります。その中、一般の買主は知識や経験が乏しいため思わぬ損害を被ることが過去には幾度となくありました。こうしたトラブルを防ぐため、物件に関して、法令による利用上の制限、契約の解除に関する事項、損害賠償額や違約金に関する事項ほか、飲用水・電気及びガスの供給、排水のための施設の整備状況といったことまで、法で定められた事項について、有資格者(宅地建物取引士)が顧客に説明することが法で定められています。
2021年、重要事項の説明行為は対面でなく、オンラインで行ってもよいと法整備が進みました。ただ、重要事項説明書や契約書など、不動産関連の書類は電子化が認められず、顧客は不動産会社に足を運び署名捺印しなければなりませんでした。
今回の改正で、不動産関連の電子契約書が全面解禁されます。不動産大手企業がけん引し、DX化は進みつつあります。今後、中堅や零細の不動産会社までDX化の波が及ぶか。注目したいところです。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
【時事解説】2022年版中小企業白書・小規模企業白書の概要 その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
では、2022年版小規模企業白書ではどのような内容が記載されているのでしょうか。ここでは2022年版小規模企業白書の構成に沿ってその概要をみていきましょう。
第1部では2021年度の小規模事業者の動向について各種統計データ等に基づきまとめています。第2部では、「新たな時代へ向けた事業の見直しと地域内連携」というタイトルで分析を行っています。
第1章では、「小規模事業者の事業見直し」というテーマで小規模事業者が感染症流行後に取り組んだ事業の見直しについて分析を行っています。その中で、小規模事業者は積極的に事業見直しに取り組んでいるものの事業見直し時に様々な課題に直面していることや、事業見直しにおける支援機関の役割の重要性を指摘しています。
第2章では、「地域課題の解決と地域内連携」というテーマで、事業者と支援機関それぞれに実施したアンケート調査の結果に基づき、地域課題解決に向けた取組を行う小規模事業者の収益性や、他の事業者や支援機関との連携に着目した分析を行っています。その中で、地域課題の解決に向けて他の事業者との協業を行う小規模事業者における支援機関のネットワーク・ノウハウを活用することの重要性を指摘しています。
第3章では、「共通基盤としての取引適正化とデジタル化、経営力再構築伴走支援」というテーマで、取引適正化と企業間取引、小規模事業者におけるデジタル化とデータ利活用、経営力再構築伴走支援などの支援の在り方などについて分析を行っています。
このように、2022年版小規模企業白書では、とくに小規模事業者の事業見直しや地域の課題解決に向けた役割に焦点をあてた分析が行われているのです。(了)
【時事解説】2022年版中小企業白書・小規模企業白書の概要 その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
中小企業庁では、2022年版中小企業白書・小規模企業白書を取りまとめ、2022年4月26日に閣議決定し公表しました。
2022年版中小企業白書・小規模企業白書のポイントとしては、新型コロナウイルス感染症の流行や原油・原材料価格の高騰等の外部環境に直面する中小企業・小規模事業者の動向、中小企業・小規模事業者のそれぞれが自己変革に向けて、新たな挑戦を行うために必要な取り組みについて、企業事例を交えながら分析を行っている点にあります。
2022年版中小企業白書の構成に沿ってその概要をみると、第1部では2021年度の中小企業の動向についてまとめています。第2部では、「新たな時代へ向けた自己変革力」というタイトルで各章において3つのテーマ別の分析を行っています。
第1章では、「中小企業における足下の感染症の対応」というテーマで、感染症がもたらした人々の生活や企業業績への影響について、各種データを用いて確認するとともに、足下の事業継続とその後の成長につなげる方法の一つとして、事業再構築の実施状況についても確認しています。そして、事業再構築によって売上面への効果や既存事業とのシナジー効果を実感する企業が存在することを指摘しています。
第2章では、「企業の成長を促す経営力と組織」というテーマで、中小企業の成長を促すための取り組みとして、ブランド構築や人的資本への投資を始めとする無形資産投資に着目した分析を行っています。
第3章では、「共通基盤としての取引適正化とデジタル化、経営力再構築伴走支援」というテーマで、取引適正化と企業間取引、中小企業におけるデジタル化とデータ利活用、経営力再構築伴走支援などの支援の在り方などについて分析を行っています。(つづく)
【時事解説】金利が表す銀行の苦悩 その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
ここまでくればいっそ、銀行も日銀のように、預金利息をマイナスにしてしまえばどうか、とも思うのですが、そうすると今度は預金供給が一気に冷え込み、預金が不足することになるでしょう。そのため、金利はほとんどゼロに張り付いてしまっているのです(銀行が顧客への金利をマイナスにできないこうした状況を「金利の非負制約」と呼びます)。
銀行にとって預金は、普通の事業会社における商材ですから、預金がなければ商売になりません。預金は集まりすぎても困りますが、少な過ぎればもっと困るのです。事業会社であれば、販売、仕入の調節は価格で行うことができるのですが、銀行はマネーの価格である金利が非負制約のため、ゼロ近辺で硬直し、その調節機能を失ってしまっているのが現状です。
商売は安く仕入れて、高く売ることで、利益を確保します。価格の変動性が利益を裏から支えます。ところが、金融ではマネーの価格がゼロに張り付き、その変動性が極端に縮小しています。その変動幅はコンマ以下の非常に微細なものになってしまっています。銀行はこうした極小的な金利差で収益を上げなければならないのです。
それでも多くの銀行が現在それなりの利益を確保できているのは、過去に発行されたハイクーポンの有価証券の存在と過去に計上した貸倒引当金の戻し入れ等によります。ハイクーポン債の償還と、コロナ禍による景気状況の悪化で貸倒引当金の増加は必至であり、過去のこうしたボーナスはなくなりつつあります。そうすると、銀行は近い将来、現在の針の穴を通すようなミクロな金利差で勝負しなければならなくなります。その時が銀行にとっての本当の正念場になります。(了)
【時事解説】金利が表す銀行の苦悩 その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
銀行預金の低金利が続いています。この低金利は銀行の苦境を象徴しています。
「金利とは何か」ということは経済学的には結構ややこしいのですが、一般的に分かりやすく言えば、金利とはマネーの価格です。商品の価格は当該商品の需要と供給のバランスで決まります。ですから、金利も他の商品と同様にマネーの需給で決まります。マネーの需要が供給より多ければ金利は上がりますし、少なければ下がります。銀行におけるマネー需要の代表は貸出であり、供給は預金になります。つまり、貸出需要が多ければ金利は上がり、預金供給が多ければ下がることになります。
1970年代までの高度成長時代には設備投資等の正常な貸出需要、1980年代にはバブルによる貸出需要が旺盛で、金利は変動を繰り返しながらも、今に比べるとはるかに高い水準にありました。それが1990年代のバブル崩壊により、貸出需要は一気に冷え込みます。一方、預金供給は相変わらず増え続けたので、余剰預金が積み上がります。その結果、金利は下がるのですが、それでもマネーの需給状況に大きな変化はなく、金利は下がり続け、現在のゼロ金利に至ります。
金利がゼロになれば、貸出需要が回復し、マネーの需給バランスも均衡するかと思いきや、ゼロ金利でも需要より供給が多い不均衡が続いています。銀行は貸出に回せない余剰資金は日銀に預金することになりますが、日銀はその一部にマイナス金利政策を適用していますから、マイナス金利の部分については、銀行は日銀に預金をすると金利を取られてしまいます。(つづく)
【時事解説】市場再編で東証はどう変わるのか? その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
4月4日、東京証券取引所の市場区分が60年ぶりに大きく再編され、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場になりました。
東証の上場企業の中には、東証1部に上場する理由の一つに「社会的ステータスを得るため」という企業も少なくありません。たしかに、東証1部企業のほうが人材は集まりやすいのも事実ですし、社員にしてみたら東証1部企業に勤務することは家族に胸を張れる側面もあります。
ただ、今回、市場が再編されてプライムができたことにより、プライム企業は最上位を維持するため、厳しい基準をクリアし続けなくてはなりません。その分、負荷がかかります。今回の再編は上場企業にとって、株式市場に上場することの意義を再度考える機会になったといえます。
株式市場の役割とは何でしょうか。19世紀末、株式会社の骨格が形成された時代までさかのぼると、株式会社は投資家から資本を集めて大規模な工場を建て、大量生産により効率化を追求しました。株主が提供する資本(お金)は希少な資源で、投資家の資金提供があるから大きな工場を建てることが可能になり、結果、効率的に利益が得られるという形がありました。
ただ、21世紀では、IT技術の発達により巨額の資本を集めることが容易になり、資本の重要性が相対的に低下しています。こうした流れの中、上場することに意味があるのか、と疑問を抱き、上場廃止を決める企業も現れています。今後、資本主義は新しい形を模索することが予想されますが、どのような形に進化していくのか、注目したいところです。(了)
【時事解説】市場再編で東証はどう変わるのか? その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
4月4日、東京証券取引所の市場区分が60年ぶりに大きく再編されました。従来の区分は「東証1部」「2部」「マザーズ」「ジャスダック」の4つでしたが、これが「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つになりました。
日本の証券市場は米国などと比べると、時価総額(株価×発行済株式数)や流動性が低い(市場に出回っている取引量が少なく、場合によってはリスクになる)企業が多くあります。投資家にとって、東証はより魅力的な市場になるよう、施策が必要と言われていました。
とりわけ、東証1部はトヨタやソニーのような、日本を代表する優良企業が上場する市場と位置付けられていました。ところが、近年は東証1部上場企業の数が増え、必ずしも世界に誇れる企業ばかりではなくなっている点にも批判の声がありました。今回、最上位市場のブランド力を高めるため、東証1部に代わりプライムが誕生しました。
プライムが名実ともにprime(優良の)市場となるために、具体的に実施したことの一つは基準を厳しくすることが挙げられます。従来、東証1部には、流通時価総額が10億円を下回ると2部へ降格という基準がありました。上場するときは原則250億円以上必要なのですが、一度上場したら多少株価が下がっても、10億円をキープしていれば1部にとどまることができました。こうした甘い基準が企業の価値向上への努力を怠らせているという批判もありました。
そこで、プライムでは、時価総額が100億円を下回ると、上場廃止にするか、あるいはスタンダードやグロースへの上場手続きをしなければならないこととなりました。このほかにも、「流通株式比率」などの基準も厳しくなりました。狙い通りプライムが魅力的な市場になるのか、しばらく目が離せません。(つづく)
【時事解説】感染症流行下での商工会・商工会議所への期待 その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
では、感染症流行下において、小規模事業者では具体的にどのような商工会・商工会議所の支援を活用した取組みが行われているのでしょうか。そこで中小企業庁編『2021年版小規模企業白書』において、感染症流行後に商工会と連携しながら積極的に新規事業に取組んだ企業の事例として取り上げられた、有限会社松輝製鋼(三重県)の取組みについてみていきましょう。
有限会社松輝製網は、地場産業であった漁網の製造販売業を営みながら、その縫製技術を生かして家庭用のオーダーカーテン等を製造する企業です。感染症流行下では、観光業や飲食店の需要が減少し、同社の漁網も販売不振に陥るとともに、カーテンの受注も伸びない状況となりました。
同社社長は、2020年3月初旬、カーテンの端切れで従業員とその家族にマスクを作って支給し好評を得たことを契機に、4月初旬に抗ウイルスのカーテン生地を活用したマスクの販売を視野に商品開発を開始しました。デザインのスキルを持ったパートスタッフの活躍もあって4月中旬には商品が完成、近隣の帽子縫製工場に協力を要請し、月産数千枚の製造能力を確保しました。同時進行で、他社のマスクとの差別化のための商品改良を試みていたところ、副業で着付け師をしているスタッフが、和柄マスクを考案しました。
2020年4月中旬、商工会に助言を求めたところ高い評価が得られ、 経営指導員が補助金の申請を支援しました。同社は補助金で専用ミシン等を購入し、5月中旬にはマスクの量産を開始しました。商工会はその後も、販路開拓などの支援を継続しました。
このように補助金申請や販路開拓がなどの商工会の支援を活用して新規事業開発を推進することが可能となるのです。(了)
【時事解説】感染症流行下での商工会・商工会議所への期待 その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
感染症流行の影響を受けて、小規模事業者では販路開拓や新事業創出などの取組みが求められます。こうした中、小規模事業者において商工会・商工会議所に対する支援の期待が高まっています。
そこで中小企業庁編『2021年版小規模企業白書』において実施された商工会及び商工会議所の会員である小規模事業者を対象に実施したWebアンケート調査の結果に基づき、感染症流行下における小規模事業者に対する商工会・商工会議所の相談実態と評価についてみていきましょう。
まず、商工会・商工会議所の利用頻度の変化について、感染症流行前の利用頻度別にみると、「頻繁に利用していた」と回答していた者の利用頻度が更に増加しています。また、商工会・商工会議所を感染症流行前には「全く利用していなかった」と回答していた者の利用頻度も大幅に増加しています。
次に、商工会・商工会議所への期待度の変化を感染症流行前の利用頻度別にみると、感染症流行前の利用頻度にかかわらず商工会・商工会議所への期待が高まっていることが確認できます。
感染症流行下で商工会・商工会議所が実施した支援のうち、小規模事業者の満足度が高かった支援策について回答割合の高い順からみると、「支援策(補助金・給付金・助成金・融資制度等)の情報提供(88.2%)」、「補助金・給付金・助成金申請(64.7%)」、「資金繰り(32.3%)」となっており、商工会・商工会議所が事業継続に向けた資金確保などの支援で重要な役割を果たしたことがわかります。
このように感染症流行後において商工会・商工会議所に対する小規模事業者からの期待は会員・非会員ともに大幅に高まっているのです。(つづく)
【時事解説】収益力の低下が招く波及的な損失 その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
税効果会計とは会計と税務の認識の違いを調整する会計処理です。たとえば、会計上の費用認識は今期で、税務上の損金認識は来期になる場合、今期納付の法人税額は会計上の利益に比べて過大になります。実際に法人税額が減るのは、将来その費用が税務上損金と認識された時点になります。こうした場合、今期納付の法人税は将来の法人税の前払いと考えて、貸借対照表に繰延税金資産という資産を計上します(同時に、損益計算書には法人税等調整額という利益が発生します)。ただ、この繰延税金資産は法人税の前払効果が認められるときにだけ計上できます。ところが、その将来に所得(利益)がなければ、元々税金がないのですから、そこで損金が増えても税額は減少せず、税額の前払効果は認められません。この場合は、繰延税金資産の資産性が否定されます。将来の収益予想も落ち込めば、収益力があるという前提で計上した繰延税金資産は取り崩さなければならなくなり、損益計算書に費用が発生します。
現代の会計では、収益力の影響は単に現在の損益計算書にとどまらず、過去に貸借対照表に計上した資産をも動かします。本業の収益力が高ければ、税効果会計で繰延税金資産を計上することができます。一方、収益力が悪化すれば、既に積んだ繰延税金資産を取り崩さなければなりません。また、減損会計が適用されると、既所有の固定資産を減額しなければならなくなります。それは当然に、資産減額の反対勘定として、損益計算書の損益を再び揺り動かします。
つまり、本業の収益力の悪化の影響は本業だけに止まらないのです。今の収益が続くという前提で貸借対照表に計上してある資産価格の修正も迫ります。本業の収益の悪化は意外と幅広い波及効果を持ち、最終損益に打撃を与えることに注意しなければなりません。(了)
【時事解説】収益力の低下が招く波及的な損失 その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
新型コロナウイルスの蔓延は企業業績の悪化を招来しています。事業そのものの業績不振による損益悪化はやむをえないのですが、現在の会計基準では本業の収益低下が連鎖的に会計上の損失を膨らませ、結果的に大きな最終損失を招くことに注意しなければなりません。その代表的な事例が減損会計と税効果会計です。
固定資産は原則として取得価格で貸借対照表に計上されます。しかし、その価格の妥当性を検証することが求められます。減損会計では、固定資産の価格には将来その資産が生む収益力が反映されると考えます。たとえば、賃貸アパートを購入しようとする場合、同じ場所で同じ形態のものでも、満室のアパートと半分しか埋まっていないアパートでは購入価格に差があります。それなら、当初購入したときには満室であったアパートの住居人の半分が出て行ってしまったとすると、その賃貸アパートの価格は下がったことになります。その価格低下を財務諸表に表現させようとするのが減損会計です。
事業用の固定資産も同様です。建物や機械を購入する場合、これからの事業展開における収益で回収できると判断する価格で、建物や機械を購入しているはずです。それが当初の思惑と異なり、新型コロナウイルスによる自粛の影響で、その固定資産で生産される製品の需要が落ち込み、取得価格が回収できないほど収益が落ち込めば、減損損失の計上を検討しなければなりません。
減損損失は、過去に他の企業を買収や合併した時に計上した“のれん”においても発生します。買収対象企業の収益力を前提に計算された“のれん”は、その企業の収益力が大きく落ち込んだ時には減損を迫られる可能性があります。(つづく)
(後編)国税庁:2020年分申告所得税標本調査結果を公表!
(前編からのつづき)
所得者区分別に所得金額をみてみますと、事業所得者は7兆5,960億円、不動産所得者は5兆7,465億円、給与所得者は18兆7,549億円、雑所得者は2兆426億円、他の区分に該当しない所得者は8兆4,351億円となりました。
申告納税者1人あたりの平均所得金額は648万円(対前年比1.9%減)で、所得者区分別にみてみますと、事業所得者420万円、不動産所得者540万円、給与所得者727万円、雑所得者253万円、他の区分に該当しない所得者は2,686万円となりました。
2020年分における所得控除の総額は、9兆4,559億円(対前年比8.7%増)で所得金額の22.2%にあたり、申告納税者1人あたりの控除額は144万円(同4.3%増)となりました。
所得控除額の構成割合をみてみますと、社会保険料控除、基礎控除及び配偶者控除が、それぞれ38.2%、32.3%、6.1%となりました。
また、税額控除の総額は1,127億円(同5.4%増)となり、税額控除の内訳をみてみます、住宅借入金等特別控除が44.8%、配当控除が31.7%となりました。
(注意)
上記の記載内容は、令和4年3月14日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
(前編)国税庁:2020年分申告所得税標本調査結果を公表!
国税庁は、2020年分申告所得税標本調査結果を公表しました。
それによりますと、同年分の申告納税者数は657万人で、対前年比4.3%増となり、3年ぶりに増加しました。
その所得金額は42兆5,796億円(対前年比2.3%増)で2年ぶりに増加し、税額は5兆8,342億円(同4.8%減)となり、2年連続減少しました。
同調査は、申告所得税納税者の所得者区分別・所得種類別の構成や各種控除の適用状況の実態を明らかにし、税務行政の運営等の基礎資料とすることを目的とするものです。
所得者区分別の構成割合をみてみますと、給与所得者(構成割合39.3%)及び他の区分に該当しない所得者(同4.8%)の申告納税者数が44.0%ですが、所得金額、税額はそれぞれ63.9%、71.7%となりました。
一方、事業所得者(同27.5%)、不動産所得者(16.2%)及び雑所得者(同12.3%)の申告納税者数は全体の56.0%でしたが、所得金額、税額では事業所得者等が所得金額、税額がそれぞれ36.1%、28.3%となりました。
(後編へつづく)
(注意)
上記の記載内容は、令和4年3月14日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
【時事解説】健康寿命とともに注目度が増すフレイルとは? その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
近年、長生きするだけでなく健康で幸せに生きる健康寿命が重視されるようになりました。そこで、注目を集めているのがフレイルへの対処です。フレイルとは加齢による心身の虚弱を指します。具体的な症状を挙げると、物覚えが悪くなった、耳が遠くなった、足腰が弱るといったことが該当します。
とくに、コロナ禍で外出を控える高齢者が増え、足腰が衰え、結果、フレイル該当者が増加しているという調査結果もあります。
ただ、フレイルは早期に発見し対処すれば、もとの状態に戻れるともいいます。こうした流れを受けて、自治体の中には、フレイルが疑われる高齢者を対象に運動メニューを提供する取り組みを行っているところもあります。また、大学の中には、体操教室を開き、高齢者が音楽に合わせて学生と一緒に体を動かすといった取り組みを実施したところもあります。
近い将来、医療の発展によりフレイルに対処する薬や体操をはじめ、さまざまな治療方法が確立されることが予想されます。結果、フレイルを5~10年程度、延ばせるときが訪れるともいわれています。そのとき、全ての対処法が安価に受けることができればよいのですが、最初は健康保険の適用外が多くを占めるでしょう。すると、医療の恩恵を受けられる人とそうでない人の間に格差が生じることになります。お金がある人はフレイルに関する医療や薬、サービスをふんだんに受け、老化を先延ばしすることができる一方で、貧しい人は従来通り老化することになります。
社会としては、こうした格差をどこまで受け入れるのか、格差を最小限にとどめるにはどのような体制が必要か、今後議論が必要になるときがくると予想されます。(了)
【時事解説】健康寿命とともに注目度が増すフレイルとは? その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
近年、糖尿病や動脈硬化などの成人病に対しては、医学の発展により解決方法がみえつつあります。癌も同様、以前よりも治療で治せるようになりました。不治の病の克服もあり平均寿命は伸びました。厚生労働省によると、2020年の日本人の平均寿命は女性が87.74歳、男性は81.64歳です。2010年の女性86.39歳、男性79.64歳と比べると、女性は1.35歳、男性は2歳ほど伸びています。今後も平均寿命は延伸すると見込まれており、2060年には女性の平均寿命は90歳を超えるともいわれています。
寿命が延びる中、長生きするだけではなく、健康で幸せに生きることが重要だという考えが強まり健康寿命が重視されるようになりました。その中、「フレイル」にも注目が集まるようになりました。
フレイルというのは、加齢で心身が虚弱状態に陥ることを指します。介護が必要なほどではなく、介護のひとつ手前の状態ともいえます。具体的には、物覚えが悪くなった、長時間歩き続けられない、長い時間立ち仕事をすると膝が痛む、さらには、耳は聞こえるがテレビの音が聞こえづらいといった症状が該当します。
フレイルは放置すると要介護状態に進むものもありますが、早期発見し適切な介入支援を行えば健康の状態に戻るものもあります。いち早く、フレイル状態を検知することに大きな意義があります。こうした特性から、最近ではフレイル専門のドックが誕生しています。
また、自治体によっては、高齢者の聴力低下に対する早期発見に力を入れているところもあります。ある自治体では無料で聴力検査を実施して、聴力低下がみられる高齢者には耳鼻科の受診や補聴器の使用などを促し、フレイルのリスクを低減しようとしています。(つづく)
【時事解説】中小企業におけるIT人材の確保と育成 その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
では、中小企業ではIT人材の確保と育成が具体的にどのように行われているのでしょうか。そこで『中小企業白書2021年版』において、IT人材の確保によりIoT事業の開発体制を構築し新規事業への参入を実現した企業の事例として取り上げられた、株式会社木幡計器製作所(大阪府)の取組みについてみていきましょう。
株式会社木幡計器製作所は、1909 年創業の圧力計専業メーカーです。同社社長は、管理コストを抑えつつ安全性の確保を実現したいユーザー企業側の潜在的なニーズを発見し、IoTシステムで管理することで、これまで独立していた工業計器のネットワーク化と遠隔での保全管理が可能になると考えました。しかし、IoT関連製品の新規事業開発に向けて、IT人材の確保が課題となりました。
そこで同社は、大手電機メーカーから早期退職した電子回路のベテラン設計者2名を採用、翌年には更に2名、大手企業出身の専門人材も加わりました。大手企業と同社では企業文化が異なることから、一体感を高めるきっかけとして朝礼後の清掃において従業員をチームに分けて、社員間で意見交換する機会を作りました。また、IoT関連の展示会に出展する際に、中途採用メンバーとプロパー社員が一緒に準備を進めることで、プロパー社員の知識が増えていきました。 試作開発や従来製品の不具合の場面でもプロパー社員と中途採用メンバーが協力することで距離が縮まり、社内にIoT製品開発に向けた土壌が醸成されていきました。こうして「後付けIoTセンサ・無線通信ユニット」を開発するに至り、同社の主力製品の一つにまで成長していきました。
このようにIT人材を確保した場合には、既存社員との融合がカギとなるのです。(了)
【時事解説】中小企業におけるIT人材の確保と育成 その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
感染症流行などの要因に伴い中小企業におけるデジタル化の推進が求められる中、ITツールの活用や情報システムの導入を企画、推進、運用するIT人材の確保と育成が求められます。以下で、中小企業庁編『中小企業白書2021年版』において実施されたアンケート調査に基づき、中小企業におけるIT人材の確保・育成の現状と課題についてみていきましょう。
IT人材の確保状況をIT人材のタイプ別にみると、「確保できていない」と回答した企業の割合は、デジタル化の取組み全体を統括できる人材で55.2%、ITツール・システムを企画・導入・開発できる人材で57.0%、ITツール・システムを保守・運用できる人材で46.6%となっており、多くの中小企業がIT人材を確保できていないことがわかります。
IT人材の確保における課題を回答割合の高い順にみると、「IT人材を採用・育成する体制が整っていない(57.1%)」、「IT人材に向けた魅力的な処遇を設定できない(30.6%)」、「人材難によりIT人材を採用できない(25.8%)」となっており、とくにIT人材を採用・育成するための体制面での課題を抱えていることがわかります。
IT人材の確保方法及び育成方法についてみると、確保方法については、「既存社員の育成」と回答した割合がIT人材のタイプに関わらず最も高くなっています。また、育成方法については、「基本的に社員の主体性に任せている」と回答した割合がIT人材のタイプに関わらず最も高くなっており、体系的な育成制度が十分に整っていないことが推察されます。
このように多くの中小企業がIT人材を確保できていないことに加え、IT人材を育成する体制が整えられていない状況にあるのです。(つづく)
【時事解説】ROEから自己資本比率へ その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
ただ、レバレッジ経営を継続するには大きな前提があります。それは会社がつぶれない、つまり資金繰りに不安がないということです。安全性を犠牲にして余裕資金を削っているのですから、資金が必要なときには、金融機関から容易に借入できる環境でなければなりません。コロナ禍が発生するまではそういう環境でしたから、ROEが重視されていたわけです。
しかし、経済環境は激変しました。新型コロナ感染拡大に伴う経済自粛の影響で、売上が激減し、日々の資金繰りが不安な状況になっています。いくら収益性が高くても、会社がつぶれては元も子もありません。会社あっての収益性です。
そうなると、安全性が大きくクローズアップされ、耐える力が問われます。そこで浮上するのが、総資産に対する自己資本の割合である自己資本比率です。
自己資本比率を向上させるには、自己資本を充実させなければなりません。平常時であれば、利益による内部留保の充実や増資なども考えられますが、非常時にはそうした政策が取りにくく、流出防止策が中心になります。配当や自己株式の取得などの株主還元を抑制し、社内留保を厚くしなければなりません。株主還元ではなく、会社の内部留保充実が求められるのです。
計算式では、自己資本がROEでは分母に、自己資本比率では分子に出てきますから、どちらの指標を重視するかで自己資本に対する態度が変わります。
安定した時代にはROEが、危機の時代には自己資本比率に注目が集まります。今は危機ですから自己資本比率が注目されていますが、平常時に戻れば再度ROEに振り子が戻ります。経営は一方向で考えるのではなく、先を見据えながら、バランスよく考えていかなければなりません。(了)
【時事解説】ROEから自己資本比率へ その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
注目される経営指標はいつも同じではなく、安定している時と危機の時では視点が異なります。現在はコロナ禍に伴う戦後最大級の危機ですから、危機乗り切りの視点からの経営指標にスポットが当たります。
コロナ禍前の安定していた時期において、上場企業の経営者が最も重視してきた指標はROE(自己資本利益率)でした。ROEは株主資本に対する収益性を表現します。したがって、ROEが高いということは株主資本に対する収益性が高いということになり、株式は買われ、経営者は評価されます。逆にROEが低ければ、経営能力に疑問符が付きます。
ROEは当期純利益を自己資本で割って算定されます。ROEを高くするためには、分子である当期純利益を増やすことが王道ですが、当期純利益を増やすことは簡単ではありませんから、分母である自己資本を減少させることも重要な手段となります。
自己資本減少のための最も効果的な方法は、株主還元です。まず配当を増加させます。さらに余裕資金があれば、手持ちのキャッシュで自己株式を買い取ることにより、自己資本を圧縮させます。余裕資金がなければ、借入金で資金を作って、自己株式を取得することもあります。借入金を多くして、自己資本を減らしROEを引き上げるのです。これがレバレッジ経営です。レバレッジ経営はROEを高めるために自己資本を圧縮するのですから、安全性指標の自己資本比率は低下します。安定している時代の会社に求められるのは、安全性より収益性です。(つづく)
【時事解説】アンモニア発電は脱炭素の切り札になるか その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
世界はカーボンニュートラルの達成に向け、CO2削減に取り組んでいます。その中、火力発電の燃料にアンモニアを用いてCO2排出量を削減しようという動きがあります。アンモニアは石炭と異なり燃やしてもCO2を排出しないことから、アンモニア火力発電が注目されるきっかけとなりました。
特筆すべきは、日本はアンモニア火力発電の分野において、他国にはない独自の技術を有していることです。世界的に、アンモニア火力発電が普及すると、技術面で先行している日本には新たな産業として勝機が訪れます。
具体的に日本が優れているのは高度な燃焼技術にあります。実のところ、アンモニアはCO2を排出しないものの、燃焼の条件によってはNOx(窒素酸化物)を排出します。窒素酸化物は自動車から排出される排気ガスの成分と同じで、大気汚染の原因になることはよく知られています。なかでも、二酸化窒素(NO2)は、気管や肺などに悪い影響を与え、ぜんそくなどの疾病につながるともいわれています。こうした窒素酸化物の問題があり、これまでアンモニア火力発電が注目されない要因になっていました。
窒素酸化物(NOx)の発生といった課題に対して、日本にはNOxを抑えながら安定して燃焼できるという、独自の技術があります。ただ、燃料の7割をアンモニアに、3割を石炭にした場合、窒素酸化物の排出を抑えられているのが現状で、今後は、アンモニアだけの発電でも窒素酸化物を排出しない技術の開発が望まれます。
コストや窒素酸化物の問題など、解決しなければならない課題はありますが、技術的に先行している日本にとって、アンモニア発電の成功は大きな利益をもたらすことになると考えられます。(了)
【時事解説】アンモニア発電は脱炭素の切り札になるか その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
現在、世界は脱炭素に向けてさまざまな取り組みがなされています。なかでも、火力発電は多くのCO2を排出することから批判の対象となっています。そんな批判の的である火力発電ですが、アンモニアを活用することで、排出されるCO2を削減しようという試みが注目を集めています。
火力発電のCO2は石炭などの化石燃料を燃やす過程で排出されます。アンモニアならば、石炭と異なり燃やしてもCO2を排出しない点が特徴です。そこで、火力発電の燃料を石炭からアンモニアに置き換えればCO2を排出せずに済むと考え、アンモニア発電が注目されるようになりました。
もともと、肥料の原料として知られているアンモニアですが、CO2削減に貢献するという、これまでとは異なる価値が生まれています。
アンモニア発電に関しては、東京電力や中部電力が出資するエネルギー企業のほか、IHIなどが発電の実証試験を始めています。アンモニア発電といっても、現在は石炭の一部をアンモニアに置き換えている段階です。実証試験では、2028年度までにアンモニアの割合を現状の2割から5割以上まで高められるよう取り組んでいます。その中、三菱重工業などは100%、アンモニアだけを燃やす発電設備を新たに開発しようとしています。
ただ、アンモニア発電(石炭と混合)は現状と比べると2割程度、コストが上がるといわれています。中でも、石炭を用いずにアンモニアだけでの発電ですと、発電のコストは2倍以上に跳ね上がるという試算もあります。アンモニア発電を実用化するには、まずはアンモニアの生産から調達、発電、それぞれの工程でのコストダウンが必要となります。(つづく)
【時事解説】中小企業における感染症流行前後のデジタル化の取組の変化2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
では、感染症流行を機に中小企業において具体的にどのようなデジタル化の取組みの変化がみられるのでしょうか。そこで中小企業庁編『中小企業白書2021年版』において感染症流行を機に SNSを活用したデジタルマーケティングに一層力を入れ顧客獲得に取組んだ事例として取上げられた有限会社渡辺酒造店(岐阜県)の取組みについてみていきましょう。
有限会社渡辺酒造店は、清酒の製造・販売を行う企業です。同社では若い世代の日本酒離れなど国内の日本酒市場の頭打ちを受けて同社社長は2019年以降営業とマーケティングをデジタル化することを決断しました。
まずはSNSでのマーケティングに注力し、インフルエンサーに商品を提供してインスタグラムに投稿してもらう取組みを開始するとともに。自社のフェイスブックやツイッターでの投稿頻度を上げ内容も充実させました。ITツールに疎い営業社員には業務時間内に学習時間を設定し、ITツール利活用のスキルの底上げを図りました。対面の営業機会は減りましたが営業の人員は削減せず、逆に動画制作スタッフを増員しました。
コロナ禍を受けて、同社はデジタル化に一層注力することを決断しました。感染症流行の終息を祈願した日本酒を送料1,000円のみでネット販売したり、酒造作業のライブ配信や、豪州・米国・香港などをビデオ会議アプリでつないだオンライン酒蔵見学・ 試飲会を開催したりしました。さらに、インバウンド需要向けの超高級酒をツイッターでのプレゼントキャンペーンに転用し、キャンペーン開始前後でフォロワー数を大幅に増やしました。
このようにデジタル化の推進によって感染症流行下のピンチをチャンスに変えることが可能となるのです。(了)
【時事解説】中小企業における感染症流行前後のデジタル化の取組の変化1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
感染症流行に伴いWeb会議やテレワーク、オンラインでの商談・営業に取組む企業が増加するなど中小企業におけるデジタル化の取組みにも変化がみられています。
そこで、中小企業庁編『中小企業白書2021年版』において実施されたアンケート調査に基づき、感染症流行前後のITツール・システムを活用した取組みについてみていきましょう。
まず、感染症流行前後で取組んだITツール・システムを活用した働き方改革の取組みを取引先属性別にみると、BtoB、BtoCともに感染症流行後において「Web会議」を挙げる企業の割合が最も高く、かつ感染症流行前と比較した割合の増加幅は、BtoBで45.4ポイント増、BtoCで41.7ポイント増と大幅に増加しています。「テレワーク、リモート勤務」についてもBtoBで34.8ポイント、BtoCで23.6%ポイント増となっており、柔軟な勤務形態の整備に向けた変化が見られます。他方で、「文書の電子化」や「社内の電子決裁」については、取組みが進んでいないことがわかります。
次に感染症流行前後で取組んだITツール・システムを活用した販売促進活動の取組を取引先属性別にみると、感染症流行後において、BtoBでは「オンラインでの商談・営業」、BtoCでは「自社HPの活用」に取組む企業が4割以上を占めていることが分かります。感染症流行前と比較した割合の増加幅についてみると「オンラインでの商談・営業」は、BtoBで36.8ポイント増となるだけでなく、BtoCにおいても24.8ポイント増となっており、感染症流行の影響を受け対面を減らすなど、販売促進活動における取組の変化がうかがえます。
このように感染症流行を機に、中小企業が業務効率化目的のデジタル化に注力しつつ働き方改革・販売促進活動の取組を強化しているのです。(つづく)
【時事解説】危機になるほど注目度が高くなる手元流動性 その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
手元流動性とは当座資産から売掛金を除き、現預金とすぐキャッシュに変換可能な短期運用の有価証券から成ります。手元流動性は今すぐに支払い手段として使える現預金相当額です。
手元流動性比率(手元流動性/月商)は手元流動性が何か月分の売上に相当するかを示しています。今回のコロナ危機のように急速に売上の減少に見舞われたとき、何カ月分の売上の喪失に耐えられるか、ということを表現しています。つまり、企業の直近の耐久力を示しているものだといえます。
もっと厳密に企業のギリギリの耐久力を示すのは、手元流動性と固定費の比較です。固定費とは売上があろうがなかろうが関係なく支払い続けなければならない、人件費、家賃などの固定的な費用です。売上がゼロになっても耐えられる最終的な企業の耐久力は、手元流動性が固定費の何か月分あるかで判断されます。
流動比率や当座比率は流動負債との相対比較ですから、短期借入金を借りて現預金を増やしても分子と分母が同時に増えるだけで、比率はさほど改善しません。しかし、手元流動性比率は、短期借入金を借り入れて現預金を増やせば、向上します。本当の緊急時には企業の借入能力も問われており、借入金を増やしても手元流動性を厚くすることが求められます。ただ、借入金の増加による手元流動性の増加は当面の資金繰りには役立ちますが、長期の財務の安定性にはマイナスに作用することは注意しなければなりません。
【時事解説】危機になるほど注目度が高くなる手元流動性 その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の停滞は深刻です。通常の売上のほとんどが失われれば、企業は資金繰りに窮し、存亡の淵に立たされます。そうした企業において、焦点があたるのは当面の支払い能力である流動性です。流動性の概念には幅がありますが、危機が深まるにつれ、焦点が当たる流動性の範囲は狭まります。
もっとも一般的な支払い能力の判断指標は流動比率(流動資産/流動負債)です。流動資産は短期に現金になることが予想されている資産で、流動負債は短期に支払期限が到来することが予想される負債です。したがって、両者を比較することにより、短期に支払うべき負債に対して保有する、短期に現金化できる資産の割合が把握できます。ただ、流動資産には実際には短期に現金化できない資産も含まれていますので、流動比率は200%以上あるのが望ましいとされます。
流動比率の最大の欠点は、分子である流動資産に在庫が含まれていることです。在庫は流動資産の中に占める割合が大きいにもかかわらず、売却される金額と売却される時期が確定しておらず、支払い手段としての確実性に欠けるからです。そこで、より短期の支払い能力として重要視されるのが当座資産です。当座資産は現預金、短期で運用される有価証券、売掛金から成ります。そこに在庫が含まれないことが重要です。その当座資産と流動負債を比較した当座比率(当座資産/流動負債)が流動資産より確実性の高い支払い能力を示す指標になります。当座比率は100%以上あれば安心だとされます。流動比率も当座比率もどちらかといえば、経済が安定している時の支払能力を示す指標です。危機が本格化すると、すぐ支払いに使えるキャッシュがどれだけあるかが重要です。それが手元流動性です。(つづく)
【時事解説】イノベーションは心理的安全性の高い職場から生まれる その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
最近、経営学の分野では「心理的安全性」が話題になっています。「このチームでは何を言っても上司や仲間が受け止めてくれる」といった安心感のある職場のほうが、生産性が高く、イノベーションが生まれやすいというものです。
また、心理的安全性はイノベーションなどの正の効果だけでなく、不正の防止といった負を減少させる効果もあるといいます。職場によっては、反対意見を述べる人は、「ネガティブな人」「面倒くさい人」などと敬遠されるケースもあります。このような心理的安全性の低い職場では、たとえ仲間の行動が不正ではないかと思っても、「ダメな人の烙印を押されたくない」「言っても無駄」という意識が働き、二の足を踏んでしまいます。反対に、心理的安全性が高い職場ならば、きちんと自身の意見を声に出し、これが結果として不正防止につながります。
不正が起こるパターンはいくつもありますが、不正を起こす本人は不正をしている自覚がない時もあります。業界の商習慣や上司の命令など、本人はおかしいと薄々感じつつも、常識だから……、上司の命令だから……など、思考停止に陥り不正を行ってしまうパターンがそうです。このような場合、心理的安全性の高い職場ならば、第三者が言葉をかける機会が増えます。結果、本人や上司が思考停止から抜け出し、自身の行いを省みることができます。
ある企業では「アサーション(主張)」という制度を導入しています。これは、役職に関わらず、新人でも誰でも気付いたことを「アサーション」として上長に伝える取り組みです。指摘された側は「アサーションをありがとう」とまずは感謝を伝えることをルールとして決めています。そうすることで、部員が気軽に臆せず発言でき、心理的安全性が高まります。(了)
【時事解説】イノベーションは心理的安全性の高い職場から生まれる その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
最近、経営学の分野では「心理的安全性」が話題になっています。これは、「自分が問題提起や異論を唱えても、仲間やリーダーがしっかり受け止めてくれる」「このチームでは何を言っても安全」と思える関係性を指します。ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱した概念です。
職場によっては、担当者がアイデアを提言すると上司がけんもほろろに切り返したり、無視したり、あるいは仲間が嘲笑するような環境もあります。このような職場は心理的安全性が低いとされています。
心理的安全性が注目されるきっかけは、グーグルが独自で実施した調査にあります。一般的に、企業の中には活気のある職場もあれば、沈滞している職場もあります。グーグルは活気のある職場は生産性が高く、イノベーションの創出数が多いというデータを示した上で、その違いは何が要因なのか、約200もの職場を対象に測定しました。結果、自由にものが言え、組織に認められ、安心感を覚えることができる職場のほうが、生産性が高くイノベーションを生みやすいという結果が出たといいます。心理的安全性は企業の業績を左右する一要因ともいえます。
ただ、注意が必要なのは「心理的安全性」は望みを何でも聞いてくれるゆるい職場とは異なります。「仕事をしたくない」といった要望を上司が叶えてくれるということでもありません。むしろ、自由な発想が許される分、求められる仕事の内容や水準も高いのが特徴です。メンバーそれぞれが相手の意見を尊重するということは、建設的な意見を交わし、そこから一段上の発想を生みだすことを意味します。これはラクなことではありません。(つづく)
【時事解説】小規模事業者におけるSDGsの取組 その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
では、小規模事業者においてSDGsの取り組みは具体的にどのように行われているのでしょうか。そこで中小企業庁編『小規模企業白書2021年版』においてSDGsに沿った新規事業に取り組んだ事例として取り上げられた、株式会社きぬのいえ(埼玉県、従業員数6名)の取り組みについてみていきましょう。
株式会社きぬのいえは、独自の染色技術でスカーフ、のれん、バッグなど小物雑貨の製造・販売を行う企業です。同社は呉服裏地の産地問屋として創業した後、染色整理業へ事業転換しました。その後自社ブランドを立ち上げ、海外市場開拓などを実現してきたものの、売上げの7割を占めるOEMが減収傾向で伸び悩んでいたことから、新たな収益の柱の必要性を感じていました。
こうした中、同社社長は、近年ファッション業界において大手を始め、SDGs達成への取組が主流となりつつあることを知り、自社でもSDGsの達成に貢献できる取り組みとして、サステナブルな新規事業を模索し始めました。
同社は商工会主宰の事業者支援プログラムを活用しつつ商品開発のアイデアを練り、退色や黄ばみの出た衣類を再生する事業のアイデアを生み出しました。そして同社で古着の染め直しサービス「SOMA Re:(ソマリ)」をスタートさせました。既存事業の染め工程の遊休時間を活用することでリーズナブルな価格を実現し、1枚ずつ職人が丁寧に染め上げることで安心感と満足感も提供しました。
「SOMA Re:」は顧客の環境意識に応えるユニークなビジネスとして、雑誌やテレビなどで取り上げられ、認知が広がり、開始から半年で売上げの5%を占めるまでになりました。
このようにSDGsに沿った新規事業に取り組むことで、新たな事業の柱を構築することも可能となるのです。(了)
【時事解説】小規模事業者におけるSDGsの取組 その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
SDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)が、わが国においても重要な指針とされる中、小規模事業者においてもSDGsへの対応は今後重要となっていくことが考えられます。
以下では、中小企業庁編『小規模企業白書2021年版』において実施されたアンケート調査に基づき、小規模事業者におけるSDGsの取組状況などについてみていきましょう。
小規模事業者のSDGsへの認知度・取組状況についてみると「SDGsについて既に取組を行っている」または「SDGsについて取組を検討している」と回答した割合の合計は全体の約1割にとどっています。一方で、「SDGsの内容について知っているが、特に取組は検討していない」または「SDGsという言葉を聞いたことがあるが、内容は知らない」との回答までを含めた割合は約7割となっており、小規模事業者においてもSDGsへの認知度が高まっていることがわかります。
SDGsの17のゴールのうち関心のあるものを聞いたところ、「住み続けられるまちづくりを」と回答する割合が、BtoC型事業者、BtoB型事業者ともに最も高くなっています。また、「関心のあるものはない」と回答する割合は1割程度にとどまっていることから、小規模事業者の大半はSDGsのゴールのいずれかに関心を持っていることがわかります。
小規模事業者がSDGsに取り組む目的をみると、「社会的責任の達成」と回答する者の割合がBtoC型事業者、BtoB型事業者ともに最も高くなっています。また「自社・自社商品・サービスの知名度向上」や「自社好感度の向上」、「新たな事業機会の獲得」と回答する割合はそれぞれ約3割から約4割となっています。
このようにSDGsに取り組むことで業績向上を期待する小規模事業者も一定程度存在するのです。
(つづく)
【時事解説】“まさか”のためのキャッシュ その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
株式会社は最終的に株主財産を増加するための組織ですから、会社で使い切れないキャッシュがあれば、配当なり自社株買いで株主に還元すべきだという論理は、もっともなものです。つい先日まではこの段階にあり、上場企業では株主還元が強く求められていました。
しかるに、新型コロナウイルスで深刻化する経済不況はさらに局面を変えます。
内部留保で蓄積されたキャッシュは第一義的に投資に振り向け、それでも使い切れないキャッシュは株主に還元し、余剰なキャッシュを持つべきではないというのは、平常時における正当な株式会社論です。しかし、会社には何が起きるか分かりません。自分の力ではいかんともしがたい非常事態に襲われることがあります。たとえば、東日本大震災や今回の新型コロナウイルスの蔓延のような場合です。会社には従業員をはじめ多くのステークホールダー(利害関係者)がいるのですから、こうした非常時に遭遇しても、ある程度持ちこたえなければなりません。そうした非常時に、不可欠なのは自由に使えるキャッシュです。平常時には無駄と思われたキャッシュが非常時には最も役立つ武器となるのです。
平常時には効率経営の観点から余剰キャッシュを保有しないことが望ましいとされます。「平常時はいつまでも続かない、必ず非常時は来る」ということは頭では分かっていても、平常時が長く続くと、そのことをついつい忘れ、株主からの要請に抗しきれず、極端な効率経営に走ってしまいがちです。今回の新型コロナウイルスに伴う経済危機は、平常時においても非常時に備え、ある程度の余裕を持った経営をすることの必要性を改めて痛感させました。(了)
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